2016 Fiscal Year Research-status Report
D-アミノ酸発現機序と機能的役割の解明および慢性炎症病態との関連
Project/Area Number |
16K20225
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 祐輔 山形大学, 医学部, 助教 (50466629)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 慢性炎症 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究ではIgA腎症患者における口蓋扁桃組織について、臨床的重症度分類および組織学的重症度分類によりD-アミノ酸発現様式を比較し、炎症の程度とD-アミノ酸発現機序との関連を検討した。IgA腎症患者22症例の摘出口蓋扁桃における臨床的重症度分類(C-Grade Ⅰ-Ⅲ)とD-アミノ酸発現面積との関連を検討したが有意な相関関係は認められなかった。また、組織学的重症度分類(H-GradeⅠ-Ⅳ)とD-アミノ酸発現面積との関連を検討したが、こちらも有意な相関関係は認められなかった。よってD-アミノ酸はIgA腎症の腎組織においては、尿蛋白の有無やeGFRなどの腎機能には直接関連はなく、また糸球体病変の形成にも直接関連がないことが示唆された。 真珠腫性中耳炎患者における真珠腫組織についてもD-アミノ酸発現様式を比較検討した。真珠腫組織においては年齢によって発現パターンが異なり、若年者では主に角質層、高齢者では肝室内に多くの発現が認められることを明らかにした。同一患者における先天性・後天性真珠腫同時存在症例についても同様にD-アミノ酸染色を施行したが、やはり先生性真珠腫においては後天性真珠腫に比べ角質(debris)に強い発現を認めた。 好酸球性副鼻腔炎症例と非好酸球性副鼻腔炎症例においても鼻ポリープにおけるD-アミノ酸発現様式を比較検討した。好酸球性、非好酸球性ともに粘膜上皮においてはD-アミノ酸発現は認められたが、非好酸球性症例のほうが発現が強い傾向があった。また、間質組織では好酸球性症例は浮腫状変化が強く、D-アミノ酸発現もほとんど認められない症例が多いのに対し、非好酸球性症例では間質や周囲腺組織にD-アミノ酸発現が多い傾向を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IgA腎症患者の口蓋扁桃組織におけるD-Asp発現様式の比較、重症度分類との関連について検討を行った。また鼻ポリープにおけるD-Asp発現様式の検討および好酸球性炎症の程度とD-Asp発現様式の関連の検討、先天性真珠腫と後天性真珠腫の発症メカニズムの差異につきD-Asp発現様式の観点から検討を行った。声帯ポリープについてはまだ症例数が少なく、免疫組織化学による検討まで行えていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
声帯ポリープ症例のポリープ組織、肉芽組織を集め、D-Asp免疫組織化学にてその発現様式の検討を行う。比較対照として喉頭癌(扁平上皮癌)組織を用いる。また、慢性炎症(IgA腎症)における口蓋扁桃組織、副鼻腔炎における鼻ポリープ組織、真珠腫性中耳炎における真珠腫組織、声帯ポリープ組織での蛋白レベル、mRNAレベルでのD-Asp発現の比較検討を行う。
|