2017 Fiscal Year Research-status Report
D-アミノ酸発現機序と機能的役割の解明および慢性炎症病態との関連
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16K20225
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 祐輔 山形大学, 医学部, 助教 (50466629)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / アレルギー性炎症 / 好酸球浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、難治性易再発性炎症疾患である好酸球性副鼻腔炎の鼻ポリープに着目し、手術加療で摘出した好酸球性副鼻腔炎症例の鼻ポリープ13症例と非好酸球性副鼻腔炎症例の鼻ポリープ13例に対しD-Asp特異抗体を用いた免疫組織化学染色にてを施行し、D-アミノ酸発現の有無、発現様式の違いを検討した。その結果、好酸球性副鼻腔炎群、非好酸球性副鼻腔炎群ともに、症例ごとに程度の差はあるが繊毛上皮、間質内の炎症細胞、腺組織にD-アミノ酸発現を認めた。また、好酸球性副鼻腔炎群と非好酸球性副鼻腔炎群でD-アミノ酸の発現パターンに大きな差異は認められなかったが、間質内への好酸球浸潤が多い症例では、アミノ酸が多く発現している傾向が認められた。 加齢変化や慢性炎症が起きている種々の組織でD-アミノ酸が生成されていることが報告されており、非好酸球性副鼻腔炎や難治性易再発性炎症疾患である好酸球性副鼻腔炎の成因や難治性にD-アミノ酸寄与している可能性が考えられた。また、アレルギー性炎症や好酸球性炎症におけるD-アミノ酸の関与は本年度の検討では明らかにはならなかったが、好酸球浸潤のメカニズムにはD-アミノ酸発現が何らかの関連を有する可能性が考えられた。 D-アミノ酸は加齢や慢性炎症との関連が報告されているため、好酸球性副鼻腔炎群および被好酸球性副鼻腔炎群ともに罹病期間とD-アミノ酸発現の有無を免疫組織化学染色にて検討した。罹病期間は各群とも数ヶ月から5年以上と幅広く存在していたが、罹病期間によらず、D-アミノ酸発現の染色パターンに変化は認めなかった。単純な時間的炎症暴露時間にはD-アミノ酸の関与は認めなかったが、炎症の程度や好酸球浸潤の程度なども検討項目に加える必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度にIgA腎症患者における口蓋扁桃組織のD-アミノ酸発現解析、および先天性真珠腫と後天性真珠腫とのD-アミノ酸発現の差異についての比較検討を行った。本年度は主に好酸球性副鼻腔炎症例と非好酸球性副鼻腔炎症例におけるD-アミノ酸発現の際についての詳細な検討、および罹病期間別における比較検討を行った。声帯ポリープ症例についても順次症例数も集まり、現在免疫組織化学染色によるD-アミノ酸発現解析を行っている途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている声帯ポリープ症例についてのD-アミノ酸発現の染色パターンの解析を行う。また、比較対照として肉芽腫や乳頭腫、癌腫に対してもD-アミノ酸免疫組織化学染色を行う。また、IgA腎症における口蓋扁桃組織や、好酸球性および非好酸球性副鼻腔炎症例における鼻ポリープ組織、真珠腫性中耳炎症例における中耳真珠腫組織の蛋白抽出を行い、D-アミノ酸蛋白の定量解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は主に免疫組織化学染色による検討を行った。蛋白定量解析やDNA障害および細胞死程度の抽出も併せて評価する予定であったが、まだ予備実験の段階であり試薬や抽出キット、結果を解析するソフトなどの費用が含まれていないため次年度使用額が生じた。 次年度はこれらの試薬、抽出キット、解析ソフト等を見込みより多く購入する予定である。
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Research Products
(1 results)