2016 Fiscal Year Research-status Report
TPF療法の免疫調節作用の解明と新たな免疫化学療法の開発を目指した基礎研究
Project/Area Number |
16K20227
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 秀行 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (70770460)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 免疫編集 / TPF / 頭頸部扁平上皮癌 / CD8T細胞 / CTL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、頭頸部扁平上皮癌患者に対する化学療法が、末梢血中の免疫細胞に及ぼす影響について解析することである。 はじめに未治療患者の末梢血中における免疫細胞サブセット解析および活性化について解析を行った。頭頸部扁平上皮癌患者では健常者と比較し、CD8陽性T細胞においてナイーブT細胞が減少し、エフェクターメモリーT細胞(TEM)が増加していた。加えて進行癌患者では、早期癌と比較しTEMが減少する一方、エフェクターT細胞(TEFF)が増加しており、TEM・TEFFいずれにおいても活性化マーカーであるCD38の発現が亢進していた。CD4陽性T細胞においては、患者群において免疫抑制性のサブセットである制御性T細胞が増加していた。単球系細胞では、免疫抑制性に作用するmyeloid-derived suppressor cellsが患者群において増加していた。こうした結果から、頭頸部扁平上皮癌患者の末梢血においては、より細胞障害性の高いサブセットが増加・活性化しており、特に進行癌においてその傾向が強い一方で、免疫抑制性に作用する細胞も増加していることが示された。 次に、化学療法前後における末梢血中の免疫細胞の変化を解析した。TPF療法開始前、化学療法6日目・21日目の3回採血を行い、免疫細胞サブセットの変化を解析した。化学療法の前後の比較では、CD8陽性細胞においてセントラルメモリーT細胞が減少、TEFFが増加した。また化学療法の前後でTEM・TEFFにおけるCD38の発現が増加した。こうした結果から、TPF療法により細胞傷害性の高いCD8陽性T細胞が増加・活性化し、化学療法の効果の一端を担っている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定より順調に症例を集積し解析することが出来たため、当初の計画より早く研究を進めることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで得られた結果を元に、患者予後との関連性について解析を行う。これにより、免疫細胞サブセットの予後予測マーカーとしての有用性、およびTPF療法の治療効果予測マーカーとしての有用性について検討してゆく。 さらに、TPF療法に用いる薬剤が免疫細胞サブセットにもたらす影響について、in vitroでの解析を行う予定である。
|