2016 Fiscal Year Research-status Report
ウィルス関連頭頸部癌の腫瘍免疫応答と予後についての研究
Project/Area Number |
16K20230
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 祐毅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40611009)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 頭頚部癌 / ウィルス発癌 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度はウィルス関連頭頸部扁平上皮癌として古くから知られている上咽頭癌とEBV,HPVの関連に関してそのウィルス関与の臨床的意義に関して検索を進めた。後ろ向きデータベース上から検索しえた上咽頭癌症例のうち、p16蛋白の過剰発現は2割程度に認めていたものの、HPV-ISHで陽性症例は認めず、上咽頭癌に対してHPVの関連はほぼ認めないことが明らかとなった。次いで、EBER-EBVによるEBV関連腫瘍の存在を明らかにしたのち、臨床的因子、特に免疫反応を示唆する末梢血リンパ球数、末梢血好中球数との関連を検索したところ、上咽頭癌はEBV陽性、TypeI上咽頭癌、EBV陰性、Type II-III腫瘍の3つに区分することができた。 この群間で予後を比較したところ、TypeI上咽頭癌の予後が他の2群を比較して優位に悪く、その一方で他2群に関しては末梢血リンパ球数および好中球数が有意差を持って異なり、臨床的な免疫応答の違いが発癌因子と関連があることを示唆された。また、中咽頭癌、上咽頭癌合わせて免疫応答および臨床的予後に関して検索を継続する予定であるが、その一方でウィルス非関連頭頚部癌である下咽頭癌に対する予後因子も併せて検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、PD-L1、PD-1の免疫組織学的検討の条件設定がいまだ固まっておらず、腫瘍局所の免疫応答の検索にさらなる洗練を必要とするため。
|
Strategy for Future Research Activity |
HPV中咽頭癌の発癌機構と免疫応答に関して分子生物学的見地から臨床的予後に関連する治験を見出していく予定である。免疫応答に関しては時系列での変化も認めるため、発癌機構のうち静的なゲノムのみならず、動的な転写因子の検討も視野にいれて研究を進める予定である。
|