2018 Fiscal Year Annual Research Report
Immunoreaction of the head and neck carcinoma.
Project/Area Number |
16K20230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 祐毅 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40611009)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HPV / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は頭頸部扁平上皮癌のPD-1阻害剤の奏効群に特徴的な腫瘍遺伝子変異量(TMB)およびT細胞免疫プロファイルスコア(GEP)に関して検討をすすめた。現在頭頸部扁平上皮癌に対する唯一のゲノムデータベースであるTCGAデータベースより、頭頸部扁平上皮癌528症例のTMBおよびGEPを計測し、臨床指標との関連を解析した。甲状腺乳頭癌405症例、肺癌408症例、悪性黒色腫345症例を比較に用いた。TMBの計測法法は遺伝子変異のうちsilent mutation を除いた変異総数を、GEPの計測法法としては先行研究で提唱されているPD-L1遺伝子発現を含めた免疫関連遺伝子の重みつけ発現の計測と内在コントロール遺伝子発現との差から求めた。結果として、頭頸部癌のTMBは肺癌、悪性黒色腫よりも小さく甲状腺乳頭癌よりも大きかった。頭頸部癌のGEPは肺癌より小さく、悪性黒色腫と同等であった。頭頸部癌では高齢、T進行例、N3、HPV陰性喉頭下咽頭癌でTMBが高く、T早期例、N進行例、HPV陽性中咽頭癌でGEPは高かった。GEPはPD-L1遺伝子発現とよく相関していた。HPV陽性中咽頭癌はHPV陽性非中咽頭癌よりもGEPが高く、TMBは低かった。これらから導き出される結論として以下の三つの推論が考えられた。(1)悪性黒色腫、肺癌が頭頸部癌よりPD-1阻害剤奏功が示唆されるプロファイルが多いこと(2)高齢、進行喉頭下咽頭癌、PD-L1発現高値例はPD-1阻害剤の奏効が期待できること(3)HPV陽性中咽頭癌とHPV陽性非中咽頭癌は生物学的態度が異なる疾患群であることが示唆された。
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