2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular and cellular bases for cigarette smoke-induced impairments of olfactory neurogenesis
Project/Area Number |
16K20231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タバコ煙 / 嗅神経上皮 / 嗅覚障害 / 加齢 / 嗅粘膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,タバコ煙誘導性の嗅覚障害に関する機序の一部を解明し,炎症性サイトカイン抑制や細胞死の抑制が治療のターゲットである可能性を明らかにした. 初年度に,タバコ煙溶液(cigarette smoke solution: CSS)を用いて喫煙モデル動物を作製し,嗅上皮傷害・回復過程を検証した.その結果,CSS点鼻により嗅覚前駆細胞と成熟嗅細胞数が減少し,嗅覚障害が生じていた.また炎症性サイトカインも上昇していた.喫煙性嗅覚障害は嗅覚前駆細胞の抑制による成熟嗅細胞の減少により生じ,禁煙による炎症改善に伴って障害が回復する事が示唆された.次に,喫煙が嗅上皮障害回復過程に与える影響を検証し,CSSは,嗅覚前駆細胞の分裂及び分化過程を障害し,嗅上皮障害後の再生を遅延させる事,タバコ煙による障害嗅上皮再生遅延にはIGF-1の低下が関与していることが示唆された. 次年度には、加齢が嗅粘膜に及ぼす影響を解明するため、若齢マウス(8週齢)と加齢マウス(16月齢)を用いて,生理的状態の嗅神経上皮における嗅神経前駆細胞から成熟ORNsまでの嗅神経細胞系への加齢による影響を解析し,加齢マウスの嗅神経上皮では,若齢マウスと比較して分裂細胞やORNs数が低下しており,加齢に伴う嗅覚機能低下の組織学的背景であると考えられた.また,炎症性サイトカインの上昇とIGF-1の低下による神経新生および増殖・分化の抑制が分子生物学的背景にあることが明らかになった. 最終年度は,加齢モデルでの喫煙による嗅覚神経上皮への影響を検証した.加齢モデル嗅神経上皮も若齢モデルと同様にCSSにより障害され成熟嗅覚神経細胞数が低下したが,若齢と異なり経時的に成熟嗅覚神経細胞数が回復せず,嗅覚障害が持続した.その背景として,高炎症反応による基底細胞層の細胞分裂が低下とアポトーシスの亢進が影響したと考えられた.
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Research Products
(5 results)