2017 Fiscal Year Research-status Report
腺様嚢胞癌の神経周囲浸潤に関与する神経栄養因子と免疫逃避機構の解明
Project/Area Number |
16K20232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 謙也 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究医 (80648311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腺様嚢胞癌 / 癒合遺伝子 / PD-L1 / NTRK |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では腺様嚢胞癌の神経周囲浸潤メカニズムを多方面から解析している。 平成28年度はACCにおけるPD-L1の発現評価を主に行い、PD-L1はACCの約20%で発現し、発現症例では局所予後不良という結果であった。 平成29年度は、ACCの神経周囲浸潤に関与していると考えられてるNGF/TrkA系シグナルの過剰発現の原因を明らかにすることを目的に、ACCの融合遺伝子の検索、および遺伝子発現解析を行った。代表的な10例において、Illumina RNA Pan-cancer Panelを使用してRNAseqを施行した。1385のがん遺伝子の変異融合をターゲットとし、Sequence Capture法にて解析を行った。先行研究によりACCにおける、NGF/TrkA系シグナルの過剰発現が明らかになっていたことにより、Trk受容体をコードするNTRKの融合遺伝子の発現を期待した。結果としては、10例中6例でMYB-NFIB融合遺伝同定が明らかになったが、残念ながらその他の融合遺伝子は検出されなかった。なお、先行研究においてFISHによる、MYB-NFIB融合遺伝子の検討を施行しており、RNASeqの結果と矛盾しない結果であった。また、同時にRNASeqにより、遺伝子変異解析も行った。Depth 100回以上、Frequency5%以上でかつCOSMICに登録されている変異はSP1, CEP57, DST, FGFR2, KANK1, EPCAM, NOTCH1であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NGF/TrkA系シグナルがACCの神経周囲浸潤に関与していることから、そのシグナルの原因になりうる、Trk受容体の責任遺伝子であるNTRKに注目的解析を行った。しかしながら、RNAseqによる融合遺伝子の検討では残念ながら、NTRKに対する融合遺伝子は同定できず、既知のMYB-NFIB融合遺伝子しか同定できなかった。また、同時に行った変異解析ではSP1, CEP57, DST, FGFR2, KANK1, EPCAM, NOTCH1の変異をみとめた。 さらに他癌において、神経周囲浸潤との関与が指摘されている、Garanin/GALR-2系、VEGF/VEGFR-2系の関与については、免疫染色での検討を行ったが、条件検討がうまくいかず、評価が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にむけて、免疫逃避機構の評価はPD-L1のみ評価では不十分であり、CD8、CD4、Treg、PD-1、PD-L2などを含めた包括的な免疫応答の評価が必要であると考えている。 NGF/TrkA系シグナルの解析についは、シグナル過剰発現の原因として、NTRKの融合遺伝は現在解析を行った症例では同定できていない。今年度でさらに残りの症例につても、RNAseqを行う方針である。またRANseqの変異解析で明らかになった、NOTCH1に注目して、active Notch1の免疫染色を施行し、臨床予後との関連性の検討を計画している。
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Causes of Carryover |
実験系の遅れにより、今年度の解析数が少なく、今年度分の予算に若干の余りが生じた。次年度は、今年度行えなかった分の解析も行う方針である。
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