2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 裕也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00770190)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TRP / TRPM8 / 鼻過敏症 / アレルギー性鼻炎 / 冷気 / TRPV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
鼻過敏症の病態生理におけるTRP(Transient Receptor Potential)チャンネルの役割を解析することが本研究の目的である。温度変化、特に冷気刺激が鼻症状のトリガーとなることに着目し、TRPチャンネルのサブタイプの1つで冷覚受容に関わるTRPM8の鼻組織における機能解析を組織学的、分子生物学的な手法を用いて行ってきた。鼻過敏症の代表疾患であるアレルギー性鼻炎でのTRPM8の発現の変化を調べるために、OVAで感作させたマウスのアレルギー性鼻炎モデル群とコントロール群を準備し、群間でのTRPM8の発現を比較検討した。それぞれの群から鼻粘膜と三叉神経節を採取し、PCRによるmRNAの相対定量を行ったところ鼻粘膜、三叉神経節ともアレルギー性鼻炎モデル群においてTRPM8の発現が増加する傾向にあることを確認した。次に免疫組織学的な検討を行ったが、鼻粘膜は染色に難渋したため三叉神経節を主な解析対象とした。鼻腔からの感覚ニューロンの細胞体が存在する領域でのTRPM8陽性神経細胞の割合を測定したところアレルギー性鼻炎モデル群ではTRPM8陽性神経細胞の割合が増加する傾向にあることを確認した。以上の結果よりアレルギー性鼻炎の鼻組織ではTRPM8の発現が増加している可能性が示唆された。同様の発現解析を温覚受容チャンネルであるTRPV1でも行ったが、PCR、免疫染色による検討で両群間に有意な差は認めなかった。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鼻過敏症の代表疾患であるアレルギー性鼻炎のモデル動物を作成し、冷覚受容チャンネルであるTRPM8チャンネルの発現解析を免疫染色やPCRを用いて行った。研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで三叉神経節で行ってきたTRPM8の組織学的評価を鼻腔でも行う。具体的には鼻腔におけるTRPM8の発現部位やアレルギー性鼻炎モデルでのTRPM8発現量の変化について検討する。また、すでに入手しているTRPM8ノックアウトを用い、TRPM8のアゴニストであるメントールの点鼻や冷気刺激を行った際の反応を行動実験や組織学的解析により評価する。
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Causes of Carryover |
(理由)施設内にある既存の試薬などで研究の一部が遂行可能であり、試薬購入に関わる費用が予定額を下回ったため。 (使用計画)今後、研究の中心となっていく遺伝子欠損マウスの必要数確保のため、その系統維持、繁殖に費用を要する。その他、試薬を含めた消耗品の購入に充てる予定である。
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