2016 Fiscal Year Research-status Report
上咽頭癌のリンパ球浸潤におけるヒト内在性レトロウイルスの関与
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16K20235
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
阿河 光治 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90756230)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | EBV / HERV / 上咽頭癌 / LMP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト内在性レトロウイルス(HERV)蛋白がスーパー抗原として非特異的にT cell receptorに結合して免疫を過剰に活性化することが報告されている。申請者はEpstein-Barrウイルス(EBV)関連上咽頭癌の微小環境ではリンパ球浸潤が著しいことに着目し、この現象にスーパー抗原であるHERVが関与すると考えた。本研究では、仮説「上咽頭癌ではEBVがHERV関連蛋白の発現を促進し、それが細胞外へ放出された結果、上咽頭癌の微小環境におけるリンパ球集簇が誘導される」を検証する。さらに、EBVによるHERV転写活性化メカニズムとリンパ球からのサイトカインによる腫瘍微小環境形成についても検討を行う。本研究計画では以下の検討を行う。1) EBV感染細胞株や上咽頭癌組織におけるHERV-K蛋白検出 2) EBVによるHERV-K蛋白発現機構の解明 3) 上咽頭癌患者におけるHERV-K蛋白発現と癌の浸潤転移や予後の解析
まず、上咽頭癌30症例を目標にしているが、上咽頭癌10症例でHERVとEBV癌タンパクであるLMP1に対する抗体を用上咽頭癌組織の免疫染色を行った。複数の抗体を用い実験を行い、HERVとLMP1に対する有効な抗体を確認することができた。まだ有意な差ではないがLMP1とHERVの発現に相関関係がある傾向にあり、今後残り20症例の免疫染色を行う予定である。また、vitroの実験としてEBV感染細胞とEBV非感染細胞を用いてHERVに対するwestern blottingを行い、EBV感染細胞でHERVの発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上咽頭癌組織と細胞株でHERVの発現を認めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
EBV関連転写因子のherv-kプロモーターへの結合の検討(溶解感染関与の場合) 本来はサイレントであるHERVがEBVの溶解感染サイクル経路を利用して遺伝子発現をしていると考え、EBV転写因子(ZEBRAやRta)のHERV-Kプロモータ上への結合をクロマチン免疫沈降で検証する。 EBV蛋白によるherv-kプロモーター活性の解析(潜伏感染関与の場合) herv-kプロモーターはメチル化され、転写調節がされている。そこで、LMP1、LMP2A、EBNA1をトランスフェクションした細胞で転写調節領域のメチル化の程度を半定量的に解析する。1) 5-Aza-cytidine処理で脱メチル化処理した細胞としてない細胞から、それぞれゲノムDNA抽出 2) そのゲノムDNAをDNaseで1000bp程度の長さに切断 3) メチル化DNA結合蛋白を結合させたビーズで、メチル化DNAを回収し、それを鋳型にherv-kの転写調節領域のPCR増幅を解析
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Causes of Carryover |
細胞培養維持費、抗体購入費、EBV蛋白によるherv-kプロモーター活性の解析を行うため、プロモーター解析キットの購入、学会発表の旅費などのため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
EBV感染細胞の培養を継続し、プロモーターアッセイなどを行う。 また、研究内容に関して学会発表を行う。
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Research Products
(1 results)