2016 Fiscal Year Research-status Report
伸展圧によって誘導される真珠腫形成と骨破壊分子制御メカニズムの解明
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16K20242
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 隆介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00747066)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中耳真珠腫 / 伸展圧 / 骨破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は中耳真珠腫の骨破壊メカニズムに解明するにあたって、モデルマウスを作成し扁平上皮細胞と線維芽細胞の相互作用に着目した。そのモデルマウスにおいては両細胞間の相互作用により骨破壊が誘導されることが証明されている。さらに我々は真珠腫の発生段階でみられる鼓膜組織の進展刺激が真珠腫の増大あるいは骨破壊へ関与していると仮定し、そのメカニズムについて解明しようとしている。つまりマウスの耳介より扁平上皮細胞と線維芽細胞を単離しシリコンチャンバーの中で培養させ、その培養系に進展刺激を与える実験を行った。また組織への伸展圧も確認するために、まずケラチノサイトの3次元培養系を作成した。さらにモデルマウスと臨床検体を用いて破骨細胞の存在、真珠腫組織でのサイトカイン、増殖因子などもリアルタイムPCR、ELIZA法とRNA-seq法を用いて検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
伸展刺激を与えた単層培養の扁平上皮細胞及び線維芽細胞からは有為な各種サイトカインや成長因子の増加が見られなかった。その理由として、これまで報告のある伸展刺激の多くは周期的な伸展刺激であり、今回持続伸展刺激をとっているため伸展刺激様式が異なることが理由と考えられる。またマウスからの扁平上皮細胞の安定した培養が困難であることもその要因となっている。扁平上皮細胞の3次元培養についても培養は確立したものの伸展圧を負荷できるまでには至っていない。一方で臨床検体とモデルマウスを用いた実験系からは骨破壊メカニズムの解明に近づいている。つまり、破骨細胞の存在を確認し、それを誘導する因子の存在を確認した。in vitroの実験においても、その因子が線維芽細胞から破骨細胞誘導因子であるRANKLを発現することを確認できた。臨床検体からのRNA-seq法でも皮膚と比較してRANKLの上昇を確認したほか、様々なサイトカインの有為な上昇を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
単層培養系における伸展刺激の条件検討を行う。また扁平上皮細胞、線維芽細胞及び両者の3次元培養の伸展負荷実験系を構築する。さらには今年度臨床検体から有為に上昇しているとして得られた中で骨破壊及び組織増殖に関わるサイトカインや成長因子について注目し、伸展負荷実験系において発現があるかを検証する方針である。
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Causes of Carryover |
3次元構築した扁平上皮細胞に伸展圧を加えるための資材の検証が進まず、その資材に対して当てていた予算が使用できず次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シリコンチャンバーの種類や伸展の条件について検証を進めていく。
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