2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20244
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 朋子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90734070)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 耳石機能検査 / 偏中心回転検査 / 内耳造影MRI / VEMP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒトに対し、偏中心回転刺激にて内耳平衡器官の耳石器を刺激し、誘発される眼球運動を記録解析することで耳石動眼反 射を定量的に評価できる新しい検査法を開発する。耳石機能が障害されているメニエール病患者における耳石動眼反射を健康成人と比 較して、患者ごとの適切な強度のリハビリプログラムを決定するシステムを完成させることを目的とした。研究実績を以下に示す。偏中心回転検査の機器の改良および健常成人データの解析。偏中心回転検査時の刺激強度を決定した。患者に負担なくスムーズに検 査できるように回転検査時の固定器具の改良および眼球運動記録装置の改良し偏中心回転検査の際の耳石動眼反射を眼球運動三次元解析により数値化し、健常成人における正常値を求めた。メニエール病患者における偏中心回転検査と前庭誘発筋電図検査(VEMP)の比較。偏中心回転検査で耳石機能を数値化し、VEMP反応 の有無と機能障害の程度に相関があるか比較検討を行った。メニエール病患者における偏中心回転検査と内耳造影MRIの比較。メニエール病における内リンパ水腫による内耳の形態的な障害の 程度は内耳造影MRIにより評価可能である。この形態異常の程度を数値化し偏中心回転検査により得られた機能障害の程度との関係を 検討した。 メニエール病における耳石機能障害は球形嚢に多く認められた。またVEMPにて卵形嚢機能障害が疑われる症例は偏中心回転検査でも異 常値を示すものが多く認められた。上記の内容は論文としてまとめ採択された。Assessment of endolymphatic hydrops and otolith function in patients with Meniere’s disease. European Archives of Otorhinolaryngology. 2017, Vol 274.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偏中心回転検査を用いて耳石動眼反射を測定するシステムを確率した。健常人での基準値をもとめ、さらに耳石器が障害されていると考えられるメニエール病の患者を用いて検討した。メニエール病は内耳における内リンパ水腫が原因といわれているが、近年これを内耳造影MRIにより画像的に確認できる。内耳造影MRIの画像とVEMPの結果より耳石障害の有無を判定し、偏中心回転検査の結果と比較した。偏中心回転検査のVEMPに対する感度が75%、特異度94%と高い相関をみとめ、この新しい偏中心回転検査が耳石機能検査として使用可能なことを証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
メニエール病の場合は耳石器の中でも球形嚢が主に障害されているため、回転検査中の頭位を工夫することにより卵形嚢だけでなく球形嚢を評価する方法を検討し、予備実験をすすめている。眼球運動の詳細な解析に当初の計画よりも時間を要しているため、研究にやや遅延が生じている。頭位の工夫を行うことでさらに回転検査中の患者固定などの物品が必要となり、また、解析用の機器の整備のための備品購入が必要であった。
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Causes of Carryover |
偏中心回転検査機器を制御するコンピューターに不具合が生じ、修理に時間を要した。また眼球運動解 析に予定より時間を要したために当初の計画より遅延が生じた。各検査に用いる消耗品等も必要であったため。
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Research Products
(2 results)