2018 Fiscal Year Annual Research Report
Role of cytokines and chemokines in otitis media.
Project/Area Number |
16K20249
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野田 洋平 岡山大学, 大学病院, 助教 (00587404)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
High-mobility group box protein 1 (HMGB1)は30 kDaの核タンパク質で、マクロファージ、単球、好中球、内皮細胞、上皮細胞、樹状細胞、平滑筋細胞など様々な細胞での発現が報告されている。HMGB1は、p53やNF-kappa Bなどの転写因子の機能発現に重要な核内DNA結合タンパク質であると同時に、活性化された樹状細胞、マクロファージ、あるいは壊死細胞から細胞外に放出され、周辺細胞が発現しているRAGE、あるいは、TLR2やTLR4にリガンドとしても作用する。この結果、これらの細胞の転写因子を活性化し、種々の炎症性疾患で重要な働きをしていることが報告されている。昨年度までの検討で、我々はヒト慢性化膿性中耳炎やヒト真珠腫性中耳炎の中耳組織中のHMGB1の発現を確認するとともに、グラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖であるエンドトキシンにより誘導された実験的中耳炎モデルマウスにおけるHMGB1の発現を検討した。本年度は、近年、炎症因子として重要視されているNLRP3インフラマソームに注目して検討を行った。NLRP3インフラマソームは炎症性サイトカインとして重要なインターロイキン1ベータの誘導経路において重要な働きをしていることが報告されているタンパク複合体である。ヒト慢性化膿性中耳炎やヒト真珠腫性中耳炎の中耳組織を用いて免疫組織化学染色を行ったところ、NLRP3インフラマソームの発現を認めた。野生型マウスの中耳にエンドトキシンを経鼓膜投与し、24時間後に中耳洗浄液を回収した。洗浄液中のNLRP3インフラマソーム濃度を測定したところ、エンドトキシン群ではコントロール群と比較してNLRP3インフラマソーム発現が有意に高かった。これらの結果から、HMGB1やNLRP3インフラマソームは中耳炎の炎症誘導において重要であることが明らかとなった。
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