2016 Fiscal Year Research-status Report
加齢による声帯粘膜固有層の線維化に対する新たな治療法の開発
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16K20255
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮丸 悟 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10535636)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 加齢 / 声帯膜様部 / 線維化 / 抗線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢による粘膜固有層の線維化への対応が本研究のテーマであるが、加齢のモデルとなるラットは生後18ヶ月齢の高齢ラットを用いることとしており、現在、業者に飼育を依頼している状況である。18ヶ月になった時点で納入の予定であるが、それまでの間は実験手技の確立のために、高齢ラットの比較対象となる8週齢の若年ラットを用いて実験を行っている。 まず初めにin vitro実験を行っている。安楽死させたラットの喉頭を摘出し、摘出喉頭から顕微鏡下に声帯粘膜固有層のみを採取する。採取した組織はそのままシャーレに入れて、線維芽細胞を培養するという一連の操作を繰り返し行った。当初は培養細胞が十分に増殖しないことも多かったが、手技を工夫することで徐々に安定して培養できるようになってきた。その後、分離培養した線維芽細胞の免疫染色、real time (RT) PCRを行った。コラーゲンやヒアルロン酸、筋線維芽細胞の細胞マーカーであるα smooth-muscle actin、線維化促進作用を有するTGFβ1などの検討を行ったが、まだ実験回数が少なく、充分な評価はできていない状態である。培養した線維芽細胞は多数を凍結保存している状態であり、引き続き細胞培養と並行して上記免疫染色などを進めていきたい。また、今後は免疫染色やRT-PCRに加えてコラーゲンゲル収縮アッセイでの瘢痕収縮抑制効果の検討も行っていく予定である。 今年度には高齢ラットが納入されるため、高齢ラットを用いて現在行っている若年ラットと同様の実験を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初購入を予定していた動物飼育・販売業者で動物の感染症が発生したために購入が一切できなくなった。このため、別の業者に飼育・販売を依頼することになり、高齢ラットの納入が当初の予定よりも遅くなった。今年度の上旬の予定である。 また、地震の影響で実験室や実験器具が使用できない状況が数か月続き、遅れの原因となった。 実験内容としては採取した声帯粘膜固有層からの細胞培養がうまくいかず、試行錯誤したため時間を要している。左右の声帯を別々に培養していたが、それでは採取できる組織量が非常に少ないことが原因と考えられた。1個体の両側の声帯を一緒に培養することで安定して細胞が増殖するようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢ラットが今年度上旬に順次納入されるため、高齢ラットでも同様に摘出喉頭から声帯粘膜固有層を採取して細胞培養を行う。組織の採取から細胞培養までは安定して行えるようになってきているため、効率よく実験が進められると考えている。 若年、高齢ともに培養した線維芽細胞を用いて免疫染色やRT-PCR、ゲル収縮アッセイなどの予定している検査を行い、比較検討していく予定である。 また、in vivoの実験として、若年ラット、高齢ラットそれぞれに対してピルフェニドン含有の飼料と通常の飼料を別々に与える。その後ラットの喉頭を摘出し、凍結連続切片を作製して各種組織染色、免疫染色を行って組織学的な検討を行う予定である。 現時点で当初の予定よりも実験が遅れているため、今後は実験助手やほかの大学院生にも施行可能な実験については協力してもらうよう依頼している。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた動物飼育・販売業者から高齢ラットが購入できなくなり、他の業者から購入することになった。高齢ラットは飼育を必要とするため、来年度にならないと納入できず、今年度の物品費を次年度に使用することとなった。これに伴って実験器具なども今年度購入予定分を次年度に回して使用することとした。 上記理由で研究にも遅れを生じており、現時点では十分な成果が出ておらず、学会での発表にはいたっておらず、こちらについても次年度に使用する方針とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には段階的に高齢ラットが納入される予定である。このため、次年度に回した直接経費で購入していく予定である。モデルラットが増えれば実験器具もそのつど購入して実験を進めていく方針である。
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