2018 Fiscal Year Annual Research Report
Potential treatment for vocal fold fibrosis due to aging with pirfenidone.
Project/Area Number |
16K20255
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮丸 悟 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10535636)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 声帯 / 加齢 / 線維化 / 抗線維化作用 / コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢によって生じる嗄声の要因の一つに、声帯の粘膜固有層に生じる線維化があげられる。具体的にはコラーゲンやファイブロネクチンが増加し、ヒアルロン酸が低下することで声帯の粘弾性が低下して嗄声を生じると考えられている。本研究では、加齢によって声帯に生じる線維化を、抗線維化作用を有する薬剤(ピルフェニドン)を使用することで回復させることができないか検討した。 生後8週齢(若年モデル)と生後18ヶ月齢(高齢モデル)のSDラットを用いた。喉頭を摘出して声帯から組織を採取し、筋線維芽細胞の培養を行った。培養した筋線維芽細胞を用いて、瘢痕収縮抑制効果の指標となるコラーゲンゲル収縮アッセイと、コラーゲンタイプ1、αsmooth-muscle actin(αSMA)を用いた免疫染色を行った。 コラーゲンゲル収縮アッセイでは、ピルフェニドンを添加していない高齢モデルに比べてピルフェニドンを添加した高齢モデルではゲルの収縮が軽度であった。加齢によっておこるコラーゲンの増生がピエルフェニドンを添加することで抑えられ、ゲルの収縮が軽度にとどまった可能性が示唆された。しかし、ピルフェニドン非添加群の中にも収縮があまり見られないものもあった。加齢による線維化だけではゲルの収縮がそれほど顕著ではなく、そのためこの方法のみで加齢によるコラーゲンの増生へのピルフェニドンの抑制効果を判断するのは困難であると思われた。 免疫染色では、コラーゲンタイプ1、αSMAの発現のピルフェニドン添加の有無による差はほとんど目立たなかった。 以上の結果からは、今回の結果だけでは加齢によって声帯粘膜固有層に生じる線維化がピルフェニドン投与によって改善するかどうかを判断するのは困難であると思われた。今後は、PCRやELISAといった方法や、in vivoでの摘出喉頭を用いた声帯の粘弾性の検討などを用いてさらに検討する必要があると思われた。
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