2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒト鼻粘膜を介した新規drug delivery systemの構築
Project/Area Number |
16K20267
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
矢島 諒人 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90722455)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | タイト結合分子バインダー / C-CPE / microRNA / インスリン / ヒト鼻粘膜上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,タイト結合分子バインダー(C-CPE, LSR-L)およびmicroRNA(activator, inhibitor)による安全で調節可能なヒト鼻粘膜を介した新規drug delivery systemを確立することを目的とする. タイト結合分子claudinに特異的に結合可能なC-CPEを用いて,正常ヒト鼻粘膜上皮細胞(HNEC)のバリア機能の変化を細胞毒性とともに詳細に解析する.さらに,タイト結合分子および様々なシグナル伝達への影響を検討し,その作用のメカニズムを解析する.1)C-CPE 194およびC-CPE m19で処理し,細胞生存率アッセイを行った.C-CPE 194およびC-CPE m19ともに細胞毒性のない用量で処理し,電気抵抗法で測定を行った所,時間依存的にバリア機能の明らかな低下がみられた.2)HNECにおけるタイト結合分子の発現にC-CPEが影響を与えるか検討した.C-CPE処理によるclaudin-1,4,7及びoccludinの発現の変化は認められなかった.また,局在の変化も認められなかった.3)C-CPEのHNECにおけるMAPKシグナル伝達への影響を検討した.C-CPE処理によりMEK inhibitor であるU0126で阻害可能な,明らかなERK1/2のリン酸化の亢進が認められた.4)インスリンの経鼻投与は,全身の血液循環への移行を伴わずに脳内に直接移行するため,アルツハイマー病の有効な治療法となる可能性が示唆されている.そこでC-CPE処置によるFITC-インスリンのヒト鼻粘膜上皮の透過性の変化を測定した.結果,C-CPEは,対照群と比較して用量依存的に明らかにFITC-インスリンの透過性を亢進させた.また,この透過性の亢進はU0126で阻害可能であった. 以上の結果により,C-CPEは安全で調節可能なヒト鼻粘膜を介した新規drug delivery systemに有用と考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施する実験においては、ほぼ終了し有意義な結果を見出すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.3細胞間の上皮バリア形成および維持において重要な分子 lipolysis-stimulated lipoprotein receptor (LSR)は、細菌毒素CDTのレセプターでもある。このCDTのLSRと結合する部位のリガンドペプチド(LSR-L)をヒト鼻粘膜上皮細胞に処置し、上皮バリアへの影響を調べる。
2.鼻粘膜バリアに影響を与え自然免疫に密接な関与がみられるTLR3リガンド(ply I:C)をヒト鼻粘膜上皮細胞に処置し、microRNAの発現変化をmicroRNA arrayを用いて調べる。そして、変化のみられたmicroRNA (inhibitor or activator)を用いて、上皮バリアへの影響を調べる。
|
Causes of Carryover |
消耗品の使用が予定より小額であったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費(抗体、培養器具、蛋白およびRNA解析用試薬、形態観察用試薬、機能解析試薬など
|
Research Products
(1 results)