2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of oral tolerance induction to the transgenic rice containing peptides from Japanese cedar pollen allergens and the efficacy of long-term administration
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16K20282
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
遠藤 朝則 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10771181)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スギ花粉米 / スギ花粉症 / アレルギー性鼻炎 / ペプチド免疫療法 / T細胞エピトープ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スギ花粉症患者に対して「スギ花粉ペプチド含有米」を経口摂取することで、経口免疫寛容の誘導機構の解明を目的としたものである。スギ花粉症を起こすメジャー抗原はCri j 1とCri j 2があるが、ヒトのT細胞が認識する主要T細胞エピトープをCri j 1に3ヶ所、Cri j 2に4ヶ所あることを解析同定し、このエピトープを7連結したハイブリッド (7CRP)という安全な形で大量に胚乳に蓄積させた米「スギ花粉ペプチド含有米」が開発された。。 従来のアレルゲン免疫療法は、副作用としてアナフィラキシーの出現が懸念されるが、「スギ花粉ペプチド含有米」はT細胞エピトープのみ用いるためIgEと結合せず安全で、理論上アナフィラキシーの出現はない。 スギ花粉症被験者に対して「スギ花粉ペプチド含有米」および「プラセボ米(通常米)」をスギ花粉シーズン前から24週間経口摂取させ、2シーズン経過観察した。被験者から継時的に末梢血単核球を分離培養し、安全性を確認すると共に症状の抑制効果を日記やQOL評価表で評価した。 その結果、「スギ花粉ペプチド含有米」摂取群ではスギ花粉アレルゲン刺激により、T細胞の反応性は有意に抑制されていた。花粉飛散シーズン中に被験者は症状やQOLを抑制する傾向を認め、さらに薬剤使用量は「スギ花粉ペプチド含有米」摂取群で有意に抑制された。また、研究期間中に、「スギ花粉ペプチド含有米」が原因と考えられる重大な副反応などは認められなかった。 考察として、「スギ花粉ペプチド含有米」の免疫応答の機序は、T細胞の免疫不応答(T cell anergy)によるものと考えられた。今後は、大規模な「スギ花粉ペプチド含有米」の経口摂取比較試験を実施し、詳細なアレルギー炎症性サイトカインや免疫抑制性サイトカインなどの免疫応答について解析や臨床的な有効性について評価していきたい。
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