2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20287
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
金井 理絵 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 主任研究員 (30574008)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マウス鼓膜 / 組織幹細胞 / 免疫染色 / EdU / ビメンチン / サイトケラチン |
Outline of Annual Research Achievements |
鼓膜穿孔閉鎖治療では鼓膜穿孔辺縁を切除し、新鮮創化することによって、残存鼓膜の細胞が誘導され、穿孔閉鎖へと向かっていくが、その再生の源となる細胞の局在や動態は不明な点が多い。マウスを用いた動物実験によって再生の源になる鼓膜組織幹細胞の局在や穿孔閉鎖における動態を調べることが本研究の目的である。 これまでにマウスでの鼓膜穿孔モデルの作成や、鼓膜の構造をHE染色にて形態的に確認したが、平成30年度は鼓膜穿孔モデルでのHE染色、サイトケラチンやビメンチンをもちいた免疫染色を施行した。複数回の検討によって至適濃度の検討を行った。HE染色では鼓膜穿孔閉鎖過程においては緊張部が肥厚しており、より、中間層の構造が明確になる傾向がみられた。免疫染色では抗体の適正濃度の決定などに時間を要したが、鼓膜の辺縁とつち骨柄の周囲では鼓膜がやや厚みがみられ、上皮層でサイトケラチンの発現が強い傾向にあり、中間層ではビメンチンの発現が強い傾向がみられた。 また、細胞分裂が盛んな部位を同定するために、当初はBrdUでの染色を予定していたが、BrdUよりもEdUの方が手技が簡便で発現効率がよい場合もあるようなので、EdUを用いて実験を行うこととした。マウスに腹腔内、点耳、鼓室内注入などの経路でEdUの投与を施行したが、マウスの維持が難しく、鼓室内投与モデルのみ、検体を採取することができた。EdUの発現については現在、確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスでEdUを使用した実験の過去の報告を参考に濃度を設定し、腹腔内投与、点耳、鼓室内投与などの経路で投与したが、マウスの個体を維持できない場合もあり、溶媒やEdU自体の毒性の影響が考えられた。マウスでの使用経験の報告は多くはないため、溶媒の有無や至適濃度の設定に難渋し、実験に遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
ビメンチン、サイトケラチンの多重免疫染色と、EdUによる染色を組み合わせた染色を行い、鼓膜輪、臍部、緊張部、弛緩部など部位ごとに評価し、細胞分裂が盛んな、鼓膜再生の源となる細胞の局在を同定する。また、鼓膜穿孔マウスを経時的にsacrificeし、上記項目を評価したうえで、穿孔閉鎖における細胞の動態を調べる。もし、上記実験にて結果が得られない場合は上皮系や間葉系組織の発生にかかわるシグナルを発現するレポーターマウスを用いることも検討している。
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Causes of Carryover |
30年度は試薬の購入は行ったが、至適濃度の設定に時間を要し、使用動物の数も少なかった。また、本研究の結果発表などが行える状況ではなく、学会参加費として計上した費用が未使用のままになった。今後は鼓膜穿孔閉鎖過程におけるEdUと免疫染色の多重染色を行う予定であるため、試薬や実験動物の購入に費用が必要になると思われる。また、その結果を統計解析する場合の機器やソフトなどの購入や学会発表費用に充てる予定である。
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