2016 Fiscal Year Research-status Report
白金製剤による難聴発症の易感受性遺伝子解析に関する研究
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16K20291
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
小森 学 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 感覚器・形態外科部, 医員 (90573189)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薬剤性難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児固形腫瘍に使用される白金製剤は難聴を生じ、小児の言語発達遅滞などの原因となっている。近年海外で白金製剤による難聴は薬剤の累積投与量などの影響ではなく易感受性遺伝子による可能性があることが報告されたが、日本人における遺伝子変異はまだ明らかではない。本研究では白金製剤による難聴の易感受性遺伝子変異を発見し、従来の化学療法ではなく難聴を生じさせない新たなオーダーメイドの化学療法を提案することを目的とする。 本研究により、小児固形腫瘍症例に対する化学療法において、白金製剤を用いた後の難聴の発症およびそれにともなうQOLの低下などを念頭においた薬物の選択が可能になること、さらに予想される臨床型に応じて早期に難聴および言語指導などの介入が可能となる。 遺伝子変異が明らかになることで加療が難聴を生じる可能性が事前に知らされることは患者にとってより良い治療を選択するための有益な情報となると共に、薬剤性難聴のメカニズムを明らかにし、予防法と治療法の開発につながる。現在得られている報告は海外で報告されているのみであるため、人種差なども考慮するとより網羅的な遺伝子解析方法として全ゲノム解析を行い、薬剤起因性難聴に関連すると考えられるすべての遺伝子を解析することで原因解明を促進する。 現在までに白金製剤を使用した患者さんの血清検体、及びその家族よりの血清検体もしくは唾液検体からの遺伝子解析を順次施行している。解析が終了しているもので24症例(家族検体を合わせると約80検体)ほどである。今後も症例集積と解析作業を続けていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点での解析では報告されている遺伝子変異は明らかではない。人種差などがある可能性があるため、現在協議中である。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数は比較的順調に集まっているため当初の計画のままで行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析に使用したジャポニカアレイの費用が比較的抑えられたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度以降できる限り歳出を抑えつつ、最大限の活用を行っていく予定である。
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