2016 Fiscal Year Research-status Report
新規機能ペプチドによる網膜神経節細胞保護療法の開発
Project/Area Number |
16K20298
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
尾崎 拓 岩手大学, 理工学部, 准教授 (70621069)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 網膜神経節細胞 / RGC-5細胞 / ミトコンドリアカルパイン / 阻害ペプチド / Tat-μCL / 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アポトーシスに関わるミトコンドリアμ-カルパインを特異的に阻害することによって、網膜神経節細胞死を阻害できるか否かを総合的に評価することである。本研究計画では、網膜神経節細胞に対するミトコンドリアμ-カルパインの特異的阻害ペプチド(Tat-μCL)の保護効果を、マウス神経節細胞由来RGC-5細胞や器官培養網膜、緑内障モデルマウスを用いて検証する。本研究の初年度となる当該年度は、マウス神経節細胞由来RGC-5細胞を用いてTat-μCLによる細胞保護効果の検証を行った。 まず初めに、RGC-5細胞へグルタミン酸を作用させることで細胞死が誘導されていることを、位相差顕微鏡による形態学的観察やAnnekinV染色、PI(Propidium Iodide)染色、TUNEL(TdT-mediated dUTP nick end labeling)試験などにより確認した。グルタミン酸はRGC-5細胞に対して、ネクローシス様細胞死とアポトーシス様細胞死の双方を誘導することが示された。 次に、RGC-5細胞に対してTat-μCLが毒性を示すのか否かを形態学的観察、MTS試験、TUNEL試験などにより評価した。その結果、いずれの評価項目においても、Tat-μCLはRGC-5細胞に対して細胞毒性を示さないことが分かった。 続いて、グルタミン酸誘導性RGC-5細胞死に対して、Tat-μCLが保護効果を示すのかを検証した。評価方法は、形態学的観察、AnnekinV染色、PI(Propidium Iodide)染色、TUNEL試験を採用した。結果として、Tat-μCLは有意にグルタミン酸誘導性RGC-5細胞死を阻害することが示された。 以上の結果より、Tat-μCLはRGC-5細胞に対して毒性を示さないこと、グルタミン酸誘導性RGC-5細胞死を有意に阻害することが見い出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した当該年度の計画通りに研究を実施でき、実験結果も概ね良好と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は計画通りに進展したため、引き続き次年度も研究計画調書に記載した年度計画通りに研究を進める。
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