2016 Fiscal Year Research-status Report
アカントアメーバ角膜炎の超早期診断法の開発と発症機序の解明
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16K20310
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森 奈津子 金沢大学, 医学系, 助教 (80768747)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アカントアメーバ / 栄養体 / 抗シスト効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は抗がん剤の抗アカントアメーバ作用評価 抗シスト効果について実験を行った。 使用薬剤:A.マイトマイシン、B.5FU、C.ミルテフォシン、D. パクリタキセル、コントロール 方法:①2週間以上無給餌で置いたシャーレ中のシストに上清を除去後、薬液5mlを添加、②27℃下で1晩放置後、上清を除去洗浄し、新たにアメーバ生食5mlと大腸菌死菌を添加、③27℃で培養しながら経時的にシストに対する栄養体の割合を観察した。 結果:1)1回目のトライアルではCに若干の効果が認められたが、2回目のトライアルではすべての薬剤暴露サンプルで栄養型がほぼ同レベルに出現した。2)AとD処理では、10日目においても各々50%以上、20%以上の栄養型の存在が確認された。 考察:1)シストに対する殺原虫作用は、いずれの抗がん剤にも認められなかった。Cの効果については精査が必要である。2)コントロールおよびB、C処理では処理後6日目までに栄養型は20%未満に減少しシスト形成が進行したのに対し、AとD処理では、10日目においても各々50%以上、20%以上の栄養型の存在が確認された。3)シストの薬剤に対する耐性は極めて高い。シスト形成を阻止し、栄養型をターゲットとして薬剤を効かせることは、アカントアメーバを原因とする感染症の治療法としては合理的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はアカントアメーバ角膜炎の新治療薬の開発として、抗がん剤等に着目し、5FU、マイトマイシン、パクリタキセル、ミルテフォシンにおける抗アカントアメーバ効果をin vitroに実験を行った。その結果、ミルテフォシンに若干の抗アカントアメーバ効果、マイトマイシン、パクリタキセルに抗シスト効果を認めることができ、次年度に予定しているin vivo実験に移行できそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、栄養型に対する各種抗がん剤の殺原虫効果について定量的な評価を実施予定である。シストに対しては効果が認められなかったマイトマイシンとパクリタキセルは、シスト形成阻止と栄養型に対する殺原虫作用で治療薬として利用可能の可能性があり、この点を評価する。また、同様の実験をウサギのアカントアメーバモデルを作製し、これを用いて効果判定を行う予定である。
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