2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20313
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片岡 恵子 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30760516)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 網膜 / 加齢黄斑変性 / 脈絡膜新生血管 / 光干渉断層血管撮影 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性の治療は抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の出現とともに大きく変化した。抗VEGF薬は脈絡膜新生血管(CNV)をターゲットとし、実際にはその縮小および退縮を目的とするが、抗VEGF薬の連続投与にも関わらず完全退縮に至らないCNVが多く存在する。また、抗VEGF薬投与を行なっても滲出性変化に改善がなく抗VEGF薬抵抗性を示す症例もみられるのが現状である。本研究は、CNVにおける抗VEGF薬抵抗性のメカニズムの解明を目的とし、新しい治療戦略を模索するものである。 ヒトのCNVの病態を把握するうえで、光干渉断層血管撮影(OCTA)によるCNVの検討をまず行った結果、OCTAにてCNVの微細血管構造の描出とその解析が可能であった。抗VEGF薬の頻回投与に対しCNVの動態を量的解析する方法として、OCTAとオープンアクセスソフトウェアであるAngioToolをもちいた血管面積、血管分子密度を定量する方法を独自に確立し、抗VEGF薬の連続投与下であってもCNVの面積が増大すること、血管分子密度の低下は一時的であり、血管分子密度の高いCNVが新たに生じることを発見し、日本および海外の国際学会にて発表した。さらに、今回明らかになった結果について現在論文投稿中である。また、長期的な経過観察を行なったところ抗VEGF薬を継続的に使用している治療例においても1年後には治療開始時よりCNVが増大する症例も生じていることが明らかとなった。これについても、現在さらなる研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、所属する大学院生とともに研究を進めているが、予想外に大学院生の他施設への異動が生じた為研究に遅れが生じている。H30年度は再び研究を再開できる環境になるため、研究機関を1年延長し研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトにおけるCNVの動態の研究結果から、抗VEGF薬の単独治療ではCNVの退縮は困難であること、すでに治療開始時に成熟した血管をもつCNVが多く存在すること、さらに一時的に退縮したCNVのリバウンドや成熟化、抗VEGF薬投与下であっても新たなCNVが発生しうることが明らかになった。したがって、視機能の増悪を防ぐためには、CNVの完全退縮ではなく血管からの漏出を防ぐことにより視細胞障害を抑制するほうが臨床上有用であると考える。CNVのマウスモデルと臨床におけるAMDのCNVの病態の相動性を確認しながら、血管漏出のメカニズムおよびターゲットとなりうる分子の検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
H29年度に施行予定であった研究が大幅に遅延したため、H30年度に計画を延期した。そのため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(4 results)