2016 Fiscal Year Research-status Report
網膜静脈閉塞症の分子病態と脈絡膜の関連についての検討
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16K20321
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 寛樹 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (20611817)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 網膜静脈閉塞症 / 網膜色素上皮 / 分子病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜静脈閉塞症は我が国では0.62~1.25%に発症し、比較的頻度の高い疾患である。 続発する黄斑浮腫は視力の予後に重要であるが、いまだ決定的な治療法はない。治療法として以前から毛細血管瘤に対する光凝固、ステロイド注射、硝子体手術などが行われていたが、黄斑浮腫の病態には血管内皮増殖因子 (VEGF)が重要であることが判明し、現在では硝子体注射による抗VEGF治療が主流となっている。しかし、抗VEGF治療には全身的副作用、繰り返し投与が必要なこと、医療費が高額であることなどの問題点もある。そこで近年は手術技術、手術器機の発展により硝子体手術の安全性が高まっていることから、硝子体手術も見直されつつある。 今回我々は網膜静脈閉塞症患者に対して硝子体手術を行い、硝子体を用いた研究でVEGFだけでなく、SDF-1、IL-6、IL-8などの解析を行う。また近年光干渉断層計 (OCT)の発展により、これまで注目されていなかった脈絡膜が加齢黄斑変性やぶどう膜炎の治療指標となり、新たなブレークスルーが生まれた。そこで従来から行われている硝子体の液性因子の研究に加えて、さらに網膜色素上皮 (RPE)と脈絡膜にも注目して研究を進める。 平成28年度は当科で網膜静脈閉塞症の治療を行った患者のデータを集積している。当科で硝子体手術を受けた患者の中で網膜静脈閉塞症を認めた症例については、視力や光干渉断層計所見の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗は概ね順調である。現在は手術を受けた患者の視力、中心窩網膜厚、中心窩下脈絡膜厚などを測定している。患者硝子体の液性因子ついては、一定数が確保できてから同時に測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の硝子体の研究は平成29年度も継続する。今後は硝子体の液性因子の測定を行い、視力、中心窩網膜厚、中心窩下脈絡膜厚などとの関連を検討する。また抗VEGF治療では浮腫の再発が問題であるが、手術を受けた患者の浮腫の再発など、長期的な変化にも注目して観察する。 平成29年度はin vitroでのpolarized RPEを使った実験を予定している。RPEが種々のストレスを受けた際のtrans epithelial resistance (TER)値を測定することによるバリア機能の変化を検討する。Polarized RPEの上皮側からリコンビナントVEGF、SDF-1、IL-6、IL-8、TNF-αなどの刺激を行い24、48、72時間後にTER値測定および、フルオレセインの透過性試験を行う。予備実験では実験を開始してから2~3週間は安定したTER値を確認しており、実験が順調であれば長期間の変化をみる予定である。
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Causes of Carryover |
硝子体液の液性因子の測定については、一定数が確保できたのちに同時に測定する必要があり、まだ行っていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定のためのELISAキット購入時に使用する予定である。
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