2017 Fiscal Year Research-status Report
NSAIDsによる角膜上皮傷害はロイコトリエンB4第二受容体経路の阻害に起因する
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16K20334
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩本 怜 順天堂大学, 医学部, 助教 (10568207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 角膜創傷治癒 / ロイコトリエンB4第二受容体 / 脂質メディエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ロイコトリエンB4第二受容体 (BLT2) は、申請者が所属していた研究室で分子同定された受容体で、生理活性脂質12-ヒドロキシヘプタデカトリエン酸 (12-HHT) を内因性リガンドとするGタンパク質共役型受容体である。これまでに本研究室では、BLT2が、腸管バリア機能の維持や皮膚創傷治癒の促進に寄与することを明らかにしてきた。一方で、眼科臨床医学では、NSAIDs点眼の使用により角膜障害が起こることが報告されているが、原因となる分子メカニズムは不明である。12-HHT産生がNSAIDsで阻害されることから、本研究ではNSAIDs点眼によって引き起こされる角膜傷害と12-HHT/BLT2経路の関連を明らかにすることを目的とした研究である。我々は角膜にBLT2受容体が発現していること、そのリガンドである12HHTが眼球内に存在することを確かめた。また、BLT2受容体欠損マウスでは角膜上皮の創傷治癒が遅延すること、そしてこの遅延が12-HHTの添加によって相殺されることを突き止めた。さらに、野生型マウスに12-HHTを添加することで、角膜創傷治癒の促進が認められた。以上より、COX阻害剤であるNSAIDにより12-HHT/BLT2経路を遮断することで角膜創傷治癒が遅延し、12-HHTの添加によって角膜創傷治癒が促進的に働いていることを報告した(Iwamoto S et al. Sci Rep. 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果を昨年に論文として報告する事ができたため(Iwamoto S et al. Sci Rep. 2017)。この成果はマウスにおける結果のため、今後はヒトサンプルを用いた臨床研究を進めてゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒトサンプルを用いた臨床研究を進めてゆく。正常眼やドライアイ患者、そして白内障術後患者からの涙液を採取し、それぞれの涙液に含まれる12-HHTを定量する。ドライアイや白内障術後で炎症が起きている状態での12-HHT濃度を測定することで、ヒト角膜においても角膜創傷治癒と12-HHT産生量との関連を見いだしたい。
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Causes of Carryover |
臨床業務が多忙になり、研究時間の確保が十分できなかったため、実験が進まない時期があったため。
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