2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20341
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
秋山 悟一 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 研究員 (00529547)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緑内障 / 神経保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜神経節細胞の神経保護効果を検討するにあたり、本研究では網膜神経節細胞が変性する代表疾患である緑内障のモデルマウス(視神経挫滅モデル)を使用した。神経保護効果は脳梗塞の急性期治療薬であるエダラボンを使用し検討した。視神経挫滅の3日前にFluoro-GoldTM(FG)を大脳上丘に2μl注入し、視神経挫滅直後にedaravone (7.2mM) もしくは、PBS (phosphate buffer saline)を硝子体内投与した。視神経挫滅の1週間後における網膜内層厚および網膜神経節細胞数を、以下の項目において評価した。 ①OCT(光干渉断層像)を用いたGCC(ganglion cell complex: 神経線維層、神経節細胞層、内網状層を合わせたもの)の計測 ②ヘマトキシリン・エオジン染色にて、IRL (inner retinal layer)測定および網膜神経節細胞層内の細胞数計測 ③Fluoro-GoldTMを用いた逆行性ラベリングによる網膜神経節細胞数の計測 以上3項目を検討した結果、エダラボンを硝子体内投与すると、投与しない群に比較して有意に網膜神経節細胞数の維持だけでなく、GCCの菲薄化を抑制できた。エダラボンはフリーラジカルスカベンジャーと呼ばれ、酸化作用のある物質と結合することで細胞への障害を防ぐので、この作用により神経節細胞の酸化によるアポトーシスを抑制できたと考えられる。現在、神経保護作用のある治療薬が待たれているが、新薬と同時に既存薬再利用(ドラッグ・リポジショニング)も検討されている。今回、既存薬であるエダラボンは網膜神経節細胞に対しても保護効果があることが分かり、緑内障治療にも有用な可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エダラボンによる網膜神経節細胞保護効果を光干渉断層像と組織免疫染色で確認することができ、その成果を第121回日本眼科学会総会で発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き網膜神経節細胞の神経保護効果を疾患モデルマウスを用い検討していく。
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Causes of Carryover |
消耗品費の節約などにより、支出の抑制に成功した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表、論文出版費なども含めて、消耗品などを中心に使用予定である。
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