2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of tumorigenesis through novel BCOR abnormality in clear cell sarcoma of the kidney
Project/Area Number |
16K20349
|
Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
上野 瞳 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 研究員 (30435630)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 小児腎腫瘍 / ヒストン修飾 / BCOR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小児腎腫瘍である腎明細胞肉腫の腫瘍発生機序を明らかにするため、特徴的なBCOR遺伝子変異(BCOR internal tandem duplication: BCOR-ITD)の機能を複合体形成能やエピゲノムの観点から明らかにすることである。 腎明細胞肉腫腫瘍凍結組織3例を用いて、ヒストン修飾抗体(H3K4me3, H3K27ac, H3K9me3, H3K27me3)によるChIPシークエンス解析を其々行った。比較対照に、非腫瘍部腎組織も同様に3例実施した。腎明細胞肉腫における前述のヒストン修飾のピークは、非腫瘍部腎組織と比較して類似のパターンを示す領域があるものの、いくつかの異なるピーク領域を発見した。ヒストン修飾の特徴的なピーク領域は、Infinium450Kを用いたDNAメチル化解析においても特徴的な変化を示していた。 BCOR-ITD変異を有するモデル細胞の作成のため、CRISPR/Cas9を用いて細胞株におけるゲノム編集を試みた。細胞株HT1080、MRC5、NT2、HEK293を使用したところ、HT1080およびHEK293細胞においてBCOR-ITD変異へ編集されたクローンを得ることに成功した。しかし、HT1080細胞においては、BCOR領域のDNA高メチル化修飾が生じており、BCOR-ITDの発現を確認することが出来なかった。HEK293細胞においては、クローン化した全ての細胞でBCOR-ITDと共に野生型の発現が確認され、BCOR-ITDのみを発現するクローンを得ることは出来なかった。これは、HEK293細胞において複数のX染色体が活性化状態であることに起因するものと推測する。本研究で得られたBCOR/BCOR-ITD発現細胞の解析を進めるとともに、ゲノム編集効率を上げるためのさらなる条件検討を行う。
|