2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new biodegradable magnesium alloy to induce angiogenesis
Project/Area Number |
16K20350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅山 広勝 東北大学, 大学病院, 助手 (40770334)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再建外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、臨床上想定されるより大きな表面積を持ったMg合金を埋植し、埋植後25時間以内の合金から溶出するMg2+の動態を観察し、生体安全性を明らかにすることである。分解率の異なる二種類のMg亜鉛合金を用いて実験を行なった。臨床で想定されるよりも大きなプレートを作成しラット背部皮下へ埋植した。1時間、5時間、10時間、25時間後に屠殺し、血液、尿を含む各臓器の誘導結合プラズマ質量分析計による微量金属測定、主要代謝臓器の血液生化学検査、病理組織学的分析にてコントロール群および二種類のMg合金の差を比較検討した。生体埋植試験の結果では、埋植後1時間群から血中、尿中、金属周囲組織のMg2+濃度の上昇が見られたが、臨床上異常所見は認められず、血中濃度は臨床上正常範囲内であった。合金埋植群では25時間群の大腿骨骨幹部、骨端部で高い値を認めた。血液生化学検査および病理組織学的分析では異常所見を認めなかった。合金周囲組織、尿以外で合金種の差による各臓器のMg2+濃度の動態に差はなかった。Mg合金は酸化被膜や腐食生成物による保護層がない状態である埋植後初期が、単位時間あたりのMg2+の溶出量が最も多くなる。今回の研究から、生体では合金から溶出されたMg2+は合金周囲組織によって素早く取り込まれ、体循環に取り込まれ腎臓から速やかに排泄されることで体内の恒常性が維持されている。また骨組織はMgの貯蔵庫としての役割があり、血中Mg2+濃度の変動に対して早期より関与し、蓄積という形でその恒常性に貢献していることがわかった。そのため腎機能が正常であれば表面積の大きなMg合金を埋植しても生体の安全性は保たれることが本研究より明らかとなった。本研究の結果はMg合金を医療材料として安全かつ有効に使用する際の基礎的なデータであり、Mg合金が理想的な骨接合材となる可能性を示している。
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