2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20351
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山路 佳久 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (80400951)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大網 / 乳斑 / リンパ浮腫 / 腹部リンパ浮腫モデル / リンパシステム可視化モデル / リンパ節移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は細切大網乳斑注入移植によるリンパ管ネットワークの回復とその機序を明らかにし、リンパ浮腫治療に最適化された大網乳斑移植法を確立することである。 前年度では、我々は人間の新鮮解剖体を用いて実体顕微鏡と組織標本作製による大網の観察を行った。結果は、胃大網動静脈沿いには多数のリンパ管を認め、リンパ管移植としての機能を十分に持つ可能性が考えられた。また大網の大きさには個人差が大きいこと、リンパ管は豊富に認められるが、乳斑の同定、生理学的機能については生体でないと困難であることがわかった。そして生体での大網の観察と機能評価を目的に、腹部リンパ浮腫モデルマウスの作成の確立を行った。そして、まず血流を保ったまま有茎大網移植を行い観察を行うために、体表からリンパシステムの観察と定量評価が可能になるリンパシステム可視化モデルマウスをさらに開発した。これにより、種々の移植による効果が経時的に、また定量として評価が行えるようになる。実際にリンパ節移植と大網移植を行い、リンパ管の増生を体表より確認し得た。 本年度は実際に腹部リンパ浮腫モデルにおいてリンパ節移植と大網移植を施行した。現段階での観察では、血流のない大網乳斑移植とリンパ節移植では有意なリンパシステムの改築がなされないことがわかった。一方、血流のあるリンパ節移植を行うと、リンパ管の新生は有意に認めた。しかし、移植リンパ節実質にリンパ流が取り込まれるマウスと、取り込まれないマウスが存在した。このことから血管柄付きリンパ節移植には少なくともリンパ管新生を促す作用が存在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血流のない大網乳斑移植では有効なリンパ管ネットワークの回復が現段階では認めなかったため、まずは血流のある大網移植、リンパ節移植による効果を調べる必要があり、当初の予定と変更を生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ新生にリンパ節が必要であるか、また乳斑をともなう大網と比べてリンパ新生に差異があるのかを調べていく。方法としては、作成したマウスモデルを用いて、リンパ浮腫部位に有茎大網移植、有茎リンパ節移植、有茎リンパ管移植(リンパ節無し)を行い、リンパ管生成に関わるサイトカイン(CXCL13, 19, CCL21, RANKL, IL-7)、接着因子(VCAM-1, ICAM-1),増殖因子VEGF-C,核内転写因子Prox-1, 核内受容体COUP-TFII等について遺伝子発現解析を行う。また、移植組織を回収し、HE 染色、alpha-SMA染色, Podoplanin染色、LYVE-1染色、D2-40染色で評価する。表面抗原FACS解析により免疫機能評価を行う。周囲組織細胞のPROX1・Flt4・CD31発現定量をin situ hybridization法も用いて解析する。リンパ管機能評価をBODIPY FL C16蛍光法、Evans blue dye法、indocyanine green近赤外線法で行う。また、IVISを用いた蛍光法により、種々の移植によるリンパ浮腫の改善効果を経時的観察し、また定量評価を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 物品費、旅費、人件費を予想より安く抑えることが出来、次年度の研究に使うこととした。 (使用計画) マウスの購入、各種基剤に使用する。
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