2016 Fiscal Year Research-status Report
続発性リンパ浮腫発症における深部リンパ流障害の役割、それを対象とした治療戦略
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16K20358
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
品岡 玲 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90724500)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / リンパ管 / 解剖 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は深部リンパ系のリンパ浮腫発症へのかかわりを明らかにし、それに対する治療戦略を構築することが目的である。しかしリンパ系の解剖は不明な部分が多い為、まず初年度は四肢リンパ系の解剖を明らかにすることを目的としている。 従来の解剖方法では細く透明なリンパ管を解剖することが難しい為、臨床現場で用いられるICG蛍光リンパ管造影法を応用し、手早く正確にかつ簡単に解剖情報を可視化できる手技・装置を確立し、現在解析中である。またICG蛍光リンパ管造影検査のみでは皮下組織内のリンパ管しか可視化できないので、蛍光リンパ管造影法で標識したリンパ管に直接CT造影剤を注入する手技、さらには1mm以下のリンパ管でも十分に造影できるCT造影剤の配合を調節した。またリンパ管内の造影剤の注入だけでなく、それがリンパ節を越えうる造影剤も開発を試み成功した。 それによると下肢末梢からのリンパ管は現在報告されている前内側束・後外側束だけではなく、前外側束・後内側束が存在することを確認できた。さらにそれらの束のうちではお互いに交通しており、束ごとに1か所造影剤を注入することで束全体が造影できることが明らかになっている。 同時にリンパ浮腫患者における浅部リンパ流の機能評価も行った。それによるとリンパ流は早期リンパ浮腫患者で亢進し、症状が進行することで減弱することがわかった。それはリンパ浮腫早期に相対的な機能亢進がまず生じ、その後低下に転じることが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である解剖研究が順調にスタートできている。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ系解剖のバリエーションは確立したので、それの出現率を明らかにする。その為に100肢以上の解剖体数を検査する必要がある。その結果により下肢リンパ系全体を表現しうる検査手技を確立する。 検査手技の確立後、深部リンパ流を含めた評価を実際のリンパ浮腫患者にて行う。
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Causes of Carryover |
画像解析用にPCを計上していたが、他研究で必要とするスペックのPCが手に入ったため購入を取りやめた。また近赤外線可視化装置の自作費用が含まれていたが、他研究で使用するため、他研究経費で作成を行ったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解剖研究の後は、実際のリンパ浮腫患者にて評価を行う予定であり、核医学検査用トレイサーなど高額な経費が生じる予定である。
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