2017 Fiscal Year Research-status Report
静脈認証技術を血行モニタリングへ応用するための基礎的研究
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16K20364
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
倉林 孝之 獨協医科大学, 医学部, 助教 (60513231)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 赤外線 / 血管検出 / 皮弁血行モニタリング / Matlabプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットの皮弁血管を遮断する簡易的な閉塞モデルで皮弁静脈の変化を観察し、画像データの収集を行った。Wistar系ラットの腹部の島状皮弁を挙上し、皮弁を栄養する血管(大腿動静脈)を遮断する(クランプ)条件を変えて赤外線カメラによる皮弁観察を行った。血管の閉塞前、動脈のみの閉塞、静脈のみの閉塞、動静脈の閉塞の閉塞に応じた皮弁の血管像データの比較を行い、特徴の抽出を行った。結果、茎の動静脈の閉塞による皮弁内の血管の特徴的な変化が以下のように明らかとなった。動脈のみの閉塞では、皮弁の血管は太く鮮明化するが、血管そのものは蛇行しないで直線的である。静脈のみの閉塞では皮弁の血管は太く鮮明化し、かつ大きく蛇行する。動脈及び静脈の閉塞では血管は蛇行するが、血管の太さはそれほど増加しない。さらに、実際の臨床条件に近い皮弁モデルを作成し、皮弁静脈のモニタリングを経時的に行って、考案したアルゴリズムが有効であるかを検証した。血管狭窄モデルについては皮弁血管の変化をとらえることができなかったが、血管が閉塞した場合はアルゴリズムが有効であることが判明した。加えてコンピューターの目(Computer Vision)に血管の特徴量をとらえさせることを目指し、MathWorks社の数値解析ソフトウェアであるMatlabで画像の鮮明化及び画像の特徴量抽出のプログラム開発を行った。 考案したアルゴリズムを血行モニタリングに応用することで、高次元で血管閉塞の判定を下せると考えられる。また今日の静脈認証デバイスは非接触型で小型化されており、本研究で明らかにされる血管閉塞による静脈変化のアルゴリズムをこれらの高度な技術に加えて巧妙に転用することで、信頼性が高く簡便な連続モニタリングデバイスを生むことができると考えられる。これにより遊離組織移植にとどまらず、組織の血流の評価を行う臨床全般への貢献が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
茎の動静脈の閉塞によるラット皮弁内の血管の特徴的な変化が明らかとなった。さらに、実際の臨床条件に近い皮弁モデルを作成し、皮弁静脈のモニタリングを経時的に行い、考案したアルゴリズムの有効性の検証がなされた。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに判明したアルゴリズムをコンピューターの目(computer vision)でとらえるための、プログラムの模索をさらに行う。血管変化画像を抽出し、画像サンプルをコンピューターで学習させ、分類器を作成する。特徴の抽出にはオブジェクトの検出に適した勾配方向ヒストグラム(HOG)特徴を検討している。
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Causes of Carryover |
当該実験について、ラットの使用数などの合理化が行えた。 今後は判明したアルゴリズムをコンピューターの目(computer vision)でとらえるための、プログラムの模索をさらに行う。その上で、研究成果を雑誌論文として投稿を行う。
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