2016 Fiscal Year Research-status Report
リコモジュリンの抗炎症効果による重症敗血症抑制効果の解析
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16K20381
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鈴木 浩大 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (80724583)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 敗血症 / リコンビナントトロンボモジュリン / 血管内皮傷害 / 多臓器不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、まず先行してrTM(リコンビナントトロンボモジュリン)の至適投与量を検討した。すでに確立しているLPS20mg/kgを腹腔内投与して得られる敗血症モデルマウスを用いて、LPS投与後3、24時間後に10mg/kg、30mg/kg、100mg/kgのrTMを投与し、48時間後の生存率を確認した。結果、非治療群の生存率がが25.8%であったことと比較して、各々の生存率が33.3%、66.7%、0%であったことから、rTM30mg/kg投与群で有意に生存率が改善し、さらに高用量のrTMは生存率が低下することが分かった。よってrTMの至適投与量を30mg/kg/回とした。 次いで、敗血症群とrTM治療群における多臓器不全の病態解析を行った。LPS投与後48時間で血清を採取し、生化学検査を施行した。血清AST、ALT、BUN、Cre値いずれも敗血症群と比較してrTM治療群は有意に低下していた。また血管内皮傷害のマーカーである血清トロンボモジュリン(TM)と血清HMGB1についても検討し、rTM治療群では敗血症群と比較していずれも有意に低下していた。またTMについては肺、腎臓、肝臓の各臓器で免疫染色を行い、敗血症群と比較して血管内皮にTMが残存していることがわかった。 さらに各群の肺、腎臓、肝臓における血管内皮を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。いずれの臓器においても、rTM治療群では敗血症群の血管内皮と比較して、内皮構造が保たれていた。 以上より、敗血症時にrTM投与することで内皮傷害を抑制し、生存率の改善に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していた内容に加え、一部平成29年度に予定していた内容も含め、計画を推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症に対するrTMの治療効果の検討は順調に行うことができた。平成29年度は臓器の血管鋳型サンプルの作製、透過型電子顕微鏡による観察を進めていく。さらに今後はrTMの作用機序について検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りの額面を使用できたが、上記額の助成金が余剰となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越し、引き続き研究課題の遂行に使用させていただきたい。
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Research Products
(1 results)