2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20388
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細見 早苗 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (90644005)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
Myeloid-derived suppressor cells(MDSC)は外傷や担癌状態で、病巣部位・血液中に増加する。また、ミクログリアは脳内の免疫担当細胞であり、壊死組織を貪食して脳内の恒常性を保つだけでなく、傷ついた神経に対し修復を行う等、頭部外傷後に多くの役割を担う。本研究では、頭部外傷後のMDSCとミクログリアの相互反応をin vivoで証明することを目的とした。 まず、損傷部への血球系細胞の浸潤を評価するため、経日的に抗Gr-1抗体と抗CD11b抗体を用いてフローサイトメトリ法を行い、損傷脳へのMDSC浸潤を定量評価した。損傷脳へ浸潤するMDSCの割合は損傷後1日目をピークにし、後は漸減していった。また損傷1日目におけるMDSCの脳内の局在を調べるため、抗Gr-1抗体を用いて免疫染色をおこなった。血中から損傷部へと浸潤するMDSCを阻害するために、損傷の3時間後、1~4日目にRB6-8C5 40mg/kg を腹腔内投与したものを抗体群とし、対照群にはアイソタイプコントロール(IgG2b,κ)を投与した。損傷後 1週間・6週間目におけるミクログリア活性をTSPO-PETを用いてin vivo imagingで評価した。血中のMDSCを免疫除去により、損傷1週目における抗Gr-1抗体投与群の大脳皮質の損傷部位と視床部ともにTSPO-PET uptakeは増加した。一方、損傷6週間では視床のup takeに優位差はなく、MDSCは主に頭部外傷急性期におけるミクログリアの活性化を抑制していると考えられた。 以上により、頭部外傷後の脳内免疫の新しい機序を証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究は概ね計画とおりに遂行できており、学会発表および論文発表の準備に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により頭部外傷後の神経炎症の新しいイメージング方法が、前臨床研究として良好な結果を得られたので、現在、臨床研究へと移行していく過程にある。
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Causes of Carryover |
自身で研究することで人件費を削減し、論文の英文校正に使用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金を学会発表、論文作成にあてる。
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