2016 Fiscal Year Research-status Report
クラッシュ症候群に対する骨髄間葉系細胞移植法の確立とメカニズム解明
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16K20389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 寿健 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (70644003)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | クラッシュ症候群 / 再生医療 / 骨髄由来間葉系幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はクラッシュ症候群に特徴的な血管内皮細胞障害、全身性炎症による多臓器不全に対して、骨髄由来間葉系幹細胞移植の有効性を判定し、どのようなメカニズムで臓器障害を軽減させ、組織損傷を修復するかを解明することで、再生療法による新規治療法の開発を目指す。研究の焦点は、以下の4つである。(1)クラッシュ症候群ラットモデルにおける、骨髄由来間葉系幹細胞移植の治療効果を評価する。(2)代表的なELISA法やWB法、Real-time PCR法、組織標本などの検査手法に加えて、in vivo生体蛍光イメージング法、マイクロアレー法を用いて、幹細胞移植の多臓器障害への効果を評価する。(3)骨髄由来マクロファージを用いたin vitro研究における評価を行う。(4)上記研究結果を踏まえて、当科で確立しているその他のSIRSモデル(敗血症、腸管虚血再灌流、熱傷、熱中症)に対して骨髄由来間葉系幹細胞移植の有効性と臓器障害軽減のメカニズムを解析する。これによりSIRS病態における幅広い応用の可能性を検証する。 ラットクラッシュ症候群モデルは確立しており、現在上記の検討を順次進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、クラッシュ症候群ラットモデルに対し骨髄由来間葉系幹細胞移植の有効性を評価し、臓器障害進行のメカニズムを解析することである。これが明らかとなれば、クラッシュ症候群に対する骨髄由来間葉系幹細胞移植による新たな治療の道が拓ける。研究の焦点を、以下の4つに絞り実施している。(1)クラッシュ症候群ラットモデルにおける、骨髄由来間葉系幹細胞移植の治療効果の評価:クラッシュ症候群ラットモデルで、クラッシュ損傷後に骨髄由来間葉系幹細胞移植を行い、臓器障害および生存率の改善が得られるか評価する。(2)骨髄由来間葉系幹細胞移植療法の治療効果のメカニズム評価:シャム群、非治療群、治療群において、クラッシュ損傷後の血中の炎症性メディエーターの動態を経時的、定量的に測定する。HE染色法、免疫染色法などで評価する。これらの結果を群間解析し、治療効果のメカニズムを明らかにする。(3) 骨髄由来マクロファージを用いたin vitro研究における評価(4)確立したSIRSモデルにおける評価。 現在まで、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、以下を順次進める。骨髄由来間葉系幹細胞移植療法の治療効果のメカニズム評価として、詳細な組織評価、細胞内シグナル評価(ウエスタンブロット法、Real-time PCR法)や、in vivo生体蛍光イメージング法、マイクロアレー法を進めていく。 また、 骨髄由来マクロファージを用いたin vitro研究として、シャム群、非治療群、治療群から骨髄由来マクロファージを抽出し、再生関連遺伝子発現の変化を評価する。これから、骨髄細胞レベルで髄由来間葉系幹細胞移植の治療効果のメカニズムを解明する。さらに、確立している感染性SIRSモデル(敗血症)、非感染性SIRSモデル(腸管虚血再灌流、熱傷、熱中症)においても同様に髄由来間葉系幹細胞移植の治療効果を評価し、SIRS病態における臨床応用の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
平成28年度は研究計画が予定より早く進展することができたため、研究進展目的で前倒し支払い請求を行った。予定より少ない支出で研究を進展することができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
骨髄由来間葉系幹細胞移植療法の治療効果を明らかにするために、詳細な組織評価、細胞内シグナル評価、in vivo生体蛍光イメージングやマイクロアレー法による評価を進めていく。 また骨髄由来マクロファージを用いたin vitro研究で、再生関連遺伝子発現の有無を評価する。さらに当科において既に確立している感染性SIRSモデル、非感染性SIRSモデルにおいても髄由来間葉系幹細胞移植の治療効果を明らかにし、SIRS病態において幅広く評価を行う。
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