2016 Fiscal Year Research-status Report
無気肺における肺組織低酸素がARDSの病態に与える影響についての前臨床的研究
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16K20395
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
吉田 輔 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (80722694)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 急性呼吸促迫症候群 / 低酸素 / 人工呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は無気肺における低酸素誘導性炎症が急性呼吸促迫症候群(ARDS)動物モデルに与える影響を検討することを目的としている.当初には分離肺換気モデルを用いた実験を最初に行うという計画をたてていたが,clinical relevancyの観点から,最初から背側無気肺形成モデルを構築した上で,それを用いて研究を行うこととした. まず,ラットに対するLPS気管内投与ARDSモデルを構築した.5mg/mlのLPS(O111, B4)溶液を500μl経気管投与したところ半数以上のラットが1日以内に死亡した.そのため1mg/ml及び5mg/mlのLPS溶液を300μlずつ経気管投与した上で,24, 48時間後に全身麻酔をかけた上で,人工呼吸下に動脈血液ガス分析を行うとともに,気管支肺胞洗浄液(BALF)中のタンパク,MPO濃度,好中球数を測定した.この結果,5mg/mlのLPS溶液を投与された動物でより強い変化が見られることがわかった.また,24時間後の時点でBALF中のMPOや好中球数の著名な増加が見られ,48時間後には低下してくるものの,動脈血酸素化は48時間後に低下していることが明らかになった. これを踏まえて,LPS5mg/ml 300μlを経気管投与後24時間後のラットにおいて,呼気終末陽圧をかけない(ZEEP)設定で,人工呼吸を6時間行う背側無気肺形成モデルを作成することした,パイロット実験を行った所,動脈血酸素分圧が低下し,背側に無気肺が形成されることが確認できた.また,人工呼吸中の吸入気酸素濃度を40%未満とすると,著名な低酸素血症が生じるため,40%以上で換気を行う必要があることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画から変更を行ったものの,clinical relevancyのあるモデル構築ができた.無気肺における低酸素誘導性炎症が急性呼吸促迫症候群(ARDS)動物モデルに与える影響」を明らかにするという目的にむけて概ね順調に進展していると感がられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に構築したモデルを用いて,①無気肺における低酸素領域の同定②無気肺が肺の炎症や肺水腫に与える影響の検討を行っていく.
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Causes of Carryover |
当初の計画から変更し,LPS誘導性のARDSモデルラットにおいて背側無気肺形成モデルを作成し,研究を行うこととした.そのため,モデル構築にやや時間がかかり,低酸素領域の免疫染色,転写因子等の解析を当該年度に行なうことができなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
背側無気肺形成モデルラットの肺組織における低酸素領域の免疫染色,サイトカイン,転写因子の解析を行うための試薬購入費および動物購入費に充てる.
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