2017 Fiscal Year Research-status Report
無気肺における肺組織低酸素がARDSの病態に与える影響についての前臨床的研究
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16K20395
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
吉田 輔 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (80722694)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ARDS / 人工呼吸 / open lung approach / PEEP |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究で5mg/mLのLPS溶液300μLをラットに気管内投与することでARDSモデルを作成し,24時間後に呼気終末陽圧(PEEP)をかけずに人工呼吸を行うことで背側無気肺が形成されることを確かめた. 本年度はこれを踏まえてこのモデルに肺胞リクルートメント及びPEEPをかけるopen lung approach(OLA)を施行することで肺傷害が軽減することができるか検討をおこなった.ARDSモデルラットを呼気終末陽圧をかけないコントロール群とOLA群に分けた上で,6時間の人工呼吸を行い,一定時間で動脈血液ガス,肺CT,病理組織像,及び気管支肺胞洗浄液の解析を行った.肺駆動圧(driving pressure:⊿P)の変化による影響を除外するためにどちらの群も⊿Pが15cm水柱となるように,一回換気量を調節しながら人工呼吸を行った. OLA群ではコントロール群と比較して無気肺が減少し,動脈血酸素分圧が高く,動脈血二酸化炭素分圧が低かった.6時間の人工呼吸後に,可逆的な無気肺をリクルートメント手技で改善させたが,それでもOLA群の酸素化,ガス交換はコントロール群よりも良好であり,コントロール群においては無気肺の形成に留まらない傷害が起きている可能性が示唆された.それを裏付けるように病理組織像,気管支肺胞洗浄液中のタンパク濃度,組織障害マーカーがOLA群で低下しており,網羅的なメディエーター測定の結果血小板由来ケモカインCXCL-7の濃度がOLA群で著明に低かった.以上から,背側無気肺の形成が血小板の活性化に伴う肺組織の傷害を増加させること,OLAがその傷害を軽減できることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無気肺の形成が肺傷害の増悪に寄与する可能性を明らかにすることができたが,その解析を詳細におこなうのに時間をようしたため,当初予定していた吸入酸素濃度の影響まで検討することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果について論文,学会発表を行うとともに,吸入酸素濃度を変化させることで無気肺に伴う肺傷害の増悪を軽減できるか検討を行う.
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Causes of Carryover |
無気肺に伴う肺傷害の増悪を吸入酸素濃度を増加させることで軽減できるのか検討することができず,次年度にその実験をおこなうこととなったため. また,論文の出版にまで至らなかったため.
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