2018 Fiscal Year Research-status Report
SCUにおける脳梗塞早期再灌流療法後の急性腎障害発症とバイオマーカーに関する検討
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16K20403
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
下山 隆 日本医科大学, 医学部, 助教 (00509325)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 急性期脳血管障害 / 再灌流療法 / 急性腎障害 / 尿中バイオマーカー / L-FABP / SCU |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年1月から2018年12月までの約2年間で当院SCUに入院加療を行った急性期脳血管障害800症例を登録した。中間解析として2017年1月から2018年9月までにSCUに入院した急性期脳梗塞患者474例のAKIの発症頻度・院内転帰、再灌流療法、尿中バイオマーカーであるL-FABPとの関連について検討を行った。474例の急性期脳梗塞患者のうち、27例 (5.7%) がAKIを発症した。尿中L-FABP値はAKIで有意に高値であった(29.5μg/g Cr vs. 3.8μg/g Cr, P<0.001)。AKI発症頻度はlow(L-FABP>10μg/g Cr):1.1%,intermediate (10≦L-FABP<20μg/g Cr):7.5%, high (L-FABP≧20μg/g Cr):27.5%であり、AKIを予測する尿中L-FABPのカットオフ値は12.9 μg/g Cr(感度 85.2%、特異度 82.1%)であった。多変量解析ではintermediate(OR, 5.249, P=0.041)とhigh(OR, 21.921,P<0.001)で尿中L-FABP値はAKI発症の独立因子であった。またAKIは退院時転帰不良の独立因子であった(OR, 3.978,P=0.012)。また再灌流療法実施症例でAKIの頻度が有意に上昇することはなかった。上記解析から尿中L-FABPは急性期脳梗塞患者のAKI発症を予測する有用なバイオマーカーであると考えられる。 この研究内容は2019年5月の大阪で行われる第60回日本神経学会学術総会で演題採択され英文原著論文を2編作成し現在国際学術誌に投稿中である。症例登録は終了しているが追加解析が必要であり研究期間の1年延長を申請した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は再灌流療法のみの患者でAKI発症頻度の検討を行う予定であったが、急性期脳血管障害患者を対象としてAKIの発症頻度や転帰を検討した報告はなく全脳血管障害でのAKIの頻度や転帰を検討するように計画を一部変更した。その結果、800症例の急性期脳血管障害を登録でき予定より多くの症例で検討が可能となった。 中間解析で474症例の急性期脳梗塞患者のAKI発症頻度や転帰、尿中L-FABPの有用性や急性期再灌流療法との関連について一定の見解が得られた。その研究結果から英語原著論文を2編作成し国際学術誌に投稿中であり当初の計画以上に研究は進展していると考える。 研究期間の1年延長に関しては症例登録自体は終了しており、今後は脳出血を含めた全脳血管障害での検討、長期予後、画像所見などの項目についても解析を行うためでありさらなる知見を得るために研究期間を1年延長することが望ましいと思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長し先述したように脳出血を含めた全脳血管障害での検討、長期予後、画像所見などの項目についても解析を行ない、学会報告や英文原著論文作成を行っていく。
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Causes of Carryover |
論文作成のための英文校正や学会参加費等に使用
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