2016 Fiscal Year Research-status Report
虚血再潅流後心筋障害におけるIL-22の役割の解明
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16K20406
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高橋 甚彌 久留米大学, 医学部, 助教 (30647813)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 急性心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心筋梗塞(AMI)の急性期死亡率は経皮的冠動脈形成術(PCI)等の初期治療の進歩により著しい改善が得られたが依然死亡率は高い。近年、インターロイキン10(IL-10)ファミリーサイトカインの一つであるIL-22はJAK/STAT3経路を活性化し、肺、腸管、肝臓、腎臓等の組織保護や線維化抑制作用を有することが報告されたが、心臓でのIL-22の役割は不明である。JAK/STAT3は重要な心筋保護経路であり、虚血再潅流障害を抑制し、結果リモデリングを抑制する。よってIL-22は心筋障害や心筋リモデリングを抑制する可能性がある。本研究の目的は、急性心筋梗塞による心筋障害、虚血再潅流障害に対するIL-22の作用を明らかにし、その機序を解明することである。 本年度は虚血再灌流モデルを安定作成することを達成し、引き続きIL-22投与による心筋障害への影響の評価した。マウス虚血再灌流モデルにおける虚血再灌流24時間後の心筋梗塞範囲を比較した結果、有意にIL-22投与群の梗塞範囲がPBS投与群と比較し、狭いことを確認した。このことはIL-22の虚血再灌流障害に対する心筋保護効果を示唆する。心筋細胞におけるIL-22の効果をみた研究はほとんどなく独創的で新規性が高く意義あるものと思われる。 また、ヒト急性心筋梗塞患者の血清におけるIL-22と梗塞範囲が関連することを示唆する予備解析結果も得ており、現在検体数を増やし解析中である。IL-22の心筋保護効果が示されれば、IL-22関連分子は急性心筋梗塞に対する新たな治療ターゲットとなり、臨床応用されればAMIの心筋傷害や慢性期の重症心不全発症を減少させ、 予後の改善が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在交付申請書に記載した計画通りに進行しており、結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
アポトーシス(細胞死)の評価を以下の通り行う。IRモデル作成24時間後、心臓を摘出しTUNEL染色を行い、アポトーシスの程度をIL-22投与群と非投与群で比較、評価する。またウエスタンブロット法でアポトーシシス関連因子も比較評価する。 細胞内シグナル伝達の評価を以下の通り行う。IRモデル作成後(0.5h、1h、3h、6h、24h)、心臓を摘出し、ウエスタンブロット法を用いて各種シグナル伝達分子の評価を行う。 IL-22KOマウスを野生型マウスにIRモデルを作成し、24時間後の心臓を摘出し、EB、TTCの二重染色を行うことで梗塞範囲の2群間比較を行い評価する。同様に、14日後の心臓を摘出し、HE染色、Azan染色、心重量計測、心エコー計測等を行い、リモデリングの2群間比較を行い評価する。 自施設に搬入となった急性心筋梗塞患者の入院日、2日目、3日目、7日目、14日目の血清を採取しELISAにてIL-22の計測を行い、IL-22と梗塞範囲、心機能、心筋逸脱酵素等の生化学分子との関連を解析する。平成28年、29年の2年間でおよそ100人分の検体を収集し解析を行う。
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Causes of Carryover |
物品購入費の差額
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に使用
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Research Products
(1 results)