2017 Fiscal Year Research-status Report
顎口腔領域疾患において喪失された骨の再生メカニズムの解明
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16K20408
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 珠希 北海道大学, 大学病院, 助教 (80580943)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 神経系 / 骨新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎口腔領域は咀嚼、嚥下や発音などの機能を担うだけではなく、顔面の形態を保持し、その喪失が審美や精神面にもかかわる領域として極めて重要である。機能や形態を良好に保持するためには顎骨は非常に重要な器官であるといえる。口腔領域に発生する疾患により骨が喪失した場合は人工的な骨補填剤もしくは自家骨を利用することになる。人工的な骨補填剤は感染などのリスクがあり、また、自家骨を使用した場合、手術侵襲が大きくなり、他臓器に影響をおよぼす。本研究では骨が喪失した場合に侵襲や有害事象をいかに低く、質的にも量的にもいかに良質な骨を新生させるかに注目している。初年度では骨代謝ネットワークの一員として知られている骨細胞に注目した。骨代謝に係る役者としては破骨細胞や骨芽細胞が知られているが、組織学的検討の結果、骨細胞はそれら以上に多く存在し、無数のネットワークを形成し、神経系ネットワークと類似しているようであった。骨細胞のネットワークに関しては未だ機能はあまり知られていないが、骨新生に係る役者として十分考えられる。次年度はそこに注目し、神経系ネットワークに関与する因子をいくつか検討し、骨細胞ネットワークとの間に相関関係がないかどうか検索した。最終年度ではいくつか検索した神経伝達物質を利用し、骨補填剤としてのボーンジェクトに種々の神経伝達物質を浸漬し、骨欠損部に充填し、骨形成能を観察する予定である。骨欠損部にいかに良質な骨を迅速に作ることができるかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨代謝環境は複雑なネットワークがある。そのため、in vitroのデータだけでは複雑なネットワークを説明するのが困難である。本研究の計画では最終的に実験動物を用いて検討したいが、その系をワークさせるのに時間がかかっているためやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的検討では骨細胞が神経系のようなネットワークをもち、たがいに連携をとっていることは予想ができる。今後はそのネットワークを活性化させることで骨新生にどのような影響を与えているかを検討したい。実験動物の系をうまくワークさせることで実験は進むと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は実験動物の系がうまく進まなかったためであり、翌年度には実験動物ならびにそれに使用する実験器具購入と骨新生を促す因子の購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)