2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 匡 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40637964)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋委縮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
嚥下障害は誤嚥性肺炎の原因になる他、突然の窒息により命を落とす原因にもなりえる。しかしながら、嚥下障害の原因は様々な要因があり、いまだ解明されてないことも多い。嚥下障害の原因の一つに筋の萎縮や神経の異常があげられるが、メカニズムや病因は解明されていない。そこで、本研究では筋委縮症における嚥下障害に着目し、筋委縮症モデルマウスを用いて、嚥下障害のメカニズムを解明することを目的としている。 本年度は、初年度に得られた結果を元に咽頭周囲の神経線維に発現しているタンパクについて検討した。まず、ノーマルの動物で検討した結果、alpha-synucleinを含む神経線維が咽頭やその周囲に多く分布していることを明らかとなった。それらのalpha-synuclein含有神経線維の分布と周囲構造を比べたところ、樹状細胞やマクロファージのマーカーであるCD-11b陽性細胞の周囲にalpha-synuclein神経線維が存在していた。 一方、咽頭における感覚神経は過去の報告により迷走舌咽神経節由来であることが報告されているため、神経節における神経細胞での発現についても検討した結果、迷走神経下神経節や舌咽神経節の多くのニューロンに発現が認められた。それらのニューロンは痛みのマーカーであるCGRPや温度やカプサイシンの受容体であるVR1との共存がみられた。 これらの結果より、alpha-synucleinを含む咽頭支配ニューロンの一部は、免疫や痛みの伝達に関係する可能性があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も研究目標を達成すべく順調に行われた。 具体的には、ノーマルの動物を使い咽頭や周囲におけるalpha-synucleinの神経分布などについて検討できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの結果を受け、次年度は追加実験の実施や追加のデータ解析を実施しながら、学会発表や論文執筆を進める予定である。さらに、嚥下障害モデル動物を利用し、咽頭や周囲組織における神経分布の変性や神経節や中枢での変化について検討し、筋の異常についてもノーマルの動物との比較検討をおこなうことで嚥下障害メカニズムの解明を目指す。
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