2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20410
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
栢森 高 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10569841)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌関連線維芽細胞 / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌微小環境における癌関連線維芽細胞(CAF)が口腔癌の進展・転移に果たす役割を検討したところ、以下の結果が得られた。 1.舌扁平上皮癌一次症例の手術検体113例を用いて免疫組織化学的に検討した結果、(1)74例で癌浸潤部周囲にSMA陽性を示すCAFの出現を認め、39例がCAF陰性であった。(2)次にCAFの有無と臨床病理学的因子との関連を統計学的に解析した結果、癌の深達度、分化度に非常に強い関連が認められた。癌の大きさ、リンパ節転移、浸潤様式との間には有意な関連は認められなかった。(3)CAF陽性例では腫瘍浸潤部での血管密度が有意に高かったのに対して、リンパ管密度との間には有意な差は得られなかった。 2.in vitroでの検討を行った結果、(1)cell culture insertを用いたMigration assayでは、ヒト皮膚線維芽細胞NHDFをlower wellに共培養した場合にヒト口腔癌細胞株HSC3のmigrationが有意に促進された。(2)4つのヒト口腔癌細胞株から得られたconditioned medium(CM)をNHDFに添加したところ、いずれのCMもNHDFのLeukemia inhibitory factor(LIF)のmRNA発現を有意に上昇させた。 以上の結果から、CAFは口腔癌のmigrationを促進する事により、その進展に寄与している可能性が示唆された。 また、癌微小環境における腫瘍関連マクロファージ(TAM)の役割をヒト口腔癌手術材料(70例)を用いた免疫組織化学、およびin vitroの系で解析したところ、癌細胞がCD163陽性TAMのVEGF-C産生を刺激して、腫瘍浸潤部のリンパ管新生を促し、リンパ節転移も促進しているのではないか、という結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト舌癌の手術材料を用いた免疫組織化学的検討、およびその臨床病理学的因子、脈管新生との関連については概ね計画通りに進行した。しかし、 1.CAFの有無と予後(overall survival)との関連 2.CAFのmigrationを刺激する因子の詳細 以上の2点に関する解析は進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.CAFの有無と予後(overall survival)との関連を解析する 2.CAFによるLIF産生が癌細胞のmigration, invasionに与える影響を中和抗体を用いて、in vitro, in vivoのレベルで解析する。また、実際のヒト癌組織でCAFがLIFを産生しているかを免疫組織化学的に検討する。
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