2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20411
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北山 美登里 (吉田) 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20636427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 顎下腺 / 細胞間接着分子 / ネクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫性唾液腺はドライマウスを引き起こす主たる原因である。しかし、その発症の分子機構はいまだ不明点が多く、疾患特異的な治療法は開発されていない。細胞間接着分子は隣接する細胞、あるいは細胞外基質との接着を介して、生体の恒常性を保つ重要な役割を担う。また、細胞間接着分子の発現異常が本疾患発症に関与していることが示唆されている。本研究では、唾液腺の発生・維持における細胞間接着分子の機能を分子レベルで明らかにすることを目的としている。 本年度は野生型マウス、ネクチン1欠損マウス顎下腺における細胞間接着タンパク質の発現について観察を行った。ネクチン1欠損マウスでは顎下腺において形態異常が確認され、消化酵素であるアミラーゼの発現が減少していることが確認された。ネクチン1欠損マウスではネクチン1だけでなく、ネクチン3のシグナルも消失しており、ネクチン1,3が顎下腺の形態形成に関与していることが示唆された。今後は顎下腺発生、維持に関与するシグナル分子の制御機構の解析を行う予定としている。特に、FGF受容体とネクチンファミリーが関与している可能性が十分に考えられるため、唾液腺発生時におけるネクチン1の分子機能をFGF受容体を介したシグナル伝達に特に注目して解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本年度は野生型マウスとネクチン1欠損マウスの顎下腺における細胞間接着分子の解析を行った。 また、組織染色を行うことによって、ネクチン1欠損マウスで顎下腺に構造異常が認められることを詳細に観察することができた。アミラーゼの減少も認められたため、構造異常のみならず機能異常も引き起こされていることがわかった。ネクチン1欠損マウスの顎下腺ではネクチン1が消失するだけでなく、ネクチン3のシグナルも消失したため、今後は顎下腺発生時におけるネクチン1,3の分子機能をFGF受容体を介したシグナル伝達に注目して解析予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
FGF欠損マウスでの表現型とネクチン1欠損マウスの表現型に類似点があることが見出されたため、今後はネクチンとFGF受容体との関係性について解析する予定である。顎下腺だけでなく、その他の外分泌系にもネクチン1欠損マウスで異常が認められたため、それらの異常がどのように引き起こされているのかシグナル伝達に着目して解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度では研究成果の発表を見送ったためそれらの経費を繰越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では研究成果の発表を予定しており、そのために使用する。また、動物実験のみならず細胞生物関連の研究を追加するためそのための経費として使用する。
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Research Products
(3 results)