2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K20418
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
成田 由香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50758050)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 病原細菌 / 獲得免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は病原細菌により引き起こされる慢性感染症であり、患者数は約332万人(厚生労働省 平成26年患者調査)と増加傾向にある国民病である。歯周病の発症と進行には免疫応答が関与し、ヘルパーT細胞による免疫応答と歯周病との関係が示唆されているが、メカニズムの詳細については不明な点が多い。本研究では歯周病の発症を歯周病原細菌の抗原性に着目し、歯周病原細菌と宿主免疫応答の両側面からの解析手法を用い、免疫細胞の分化と遊走に焦点を当て、歯周病を全身の免疫応答による歯周病の病態を解析する。歯周病に対する新しい治療法の開発に向けた分子基盤の確立を目的とする。 1. 研究計画に従い、Red complexを構成する細菌群であるTannerella forsythia (以下T. forsythia)に加え、Treponema denticola(以下T. denticola)も研究対象とし、以下の解析に用いる細胞分画を得ることができた。 2. 昨年度に引き続き、ヘルパーT細胞をTh17細胞へと分化させる歯周病原細菌(T. forsythiaおよびT. denticola)に特異的な抗原エピトープ探索を進めた。IL-17産生を指標にflowcytometryでで評価することで、Th17分化能の高い細胞分画を絞り込んだ。 3. マウス感染実験系においては、全身におけるTh17誘導と病態との関わりを解析するため、経消化管的に歯周病細菌を投与し、歯周病感染実験モデルマウスを用いてμCTによる三次元再構築を行い歯周病の病態評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い研究を進めることができている。 Red complexに属する新たな歯周病細菌T. denticolaの取り扱いを習得し、細胞分画を進めることができた。歯周病原細菌感染モデルマウスの感染条件を検討し、昨年度習得した効率的なT細胞のTh17細胞への分化を評価系を用いて解析を進めることができた。次年度につながる成果として、T細胞抗原エピトープ候補となる分画の絞り込みができたこと、歯周病の病態モデルおよび解析手法の習得が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、研究を遂行する。 各歯周病原細菌のT細胞抗原エピトープの同定を進める。絞り込んだ細胞分画成分を逆相クロマトグラフィーで分離し、Th17細胞への分化を指標に抗原タンパク質の絞り込みを進める。プロテオミクス解析により得られた候補タンパク質を大腸菌で発現し、Th17細胞への分化誘導能を評価する。同定したタンパク質についてオーバーラッピングペプチドを作成し、T細胞抗原エピトープ部位を同定する。 さらに、歯周病原細菌感染モデルを用いて、腸管を介した全身における免疫動態および歯周病病態の解析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)研究計画に従い研究を進めているが、研究費の充足率が100%ではなく、次年度は本年以上の予算が必要とされるため、本年度配分の使用額の一部を次年度使用額とした。
(研究計画)研究遂行に必要な備品については導入済みであり経費の計上は行わない。次年度は消耗品などの物品費に使用する予定である。微生物培養、細胞培養、動物実験のマウス購入および飼育費、遺伝子実験、生化学実験、病原細菌コンポーネント同定のためのDNA合成およびペプチド合成などの外注費が必要となる。本研究の発展、研究成果の発表のため、学会参加のための旅費を計上予定である。
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