2017 Fiscal Year Annual Research Report
The molecular basis for the treatment of muscle atrophy targeting NF-kB signaling
Project/Area Number |
16K20424
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (30448899)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋 / サテライト細胞 / NF-κB / 筋萎縮 / サルコペニア / オーラルフレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋分解・減少過程におけるNF-κB シグナルの動態を確認した。除神経により骨格筋の減少・分解を誘導したTAでは5日目をピークにNF-κBシグナルが上昇した。さらに単離したEDLをTNFαで3日間処理したところ線維幅径の減少と筋肉の減少に関与するユビキチンリガーゼのMuRFとAtrogin-1の発現が上昇していた。次に骨格筋再生過程におけるNF-κBシグナルの動態を確認した。Notexin注射による骨格筋再生モデルでは3日目、すなわち増殖期をピークにNF-κBシグナルが上昇し、分化期に入るにつれて減少していった。増殖期のサテライト細胞ではメインサブユニットのp65の核移行、すなわちNF-κBシグナルの亢進が認めらえた。 TNFα処理によりサテライト細胞の数が増加し、細胞周期に関わる遺伝子CyclinD1やCyclinA2の発現上昇が認められた。それとは逆にTNFα処理の濃度依存的にサテライト細胞の分化を抑制した。さらに筋分化のマスターレギュレーターであるMyoDの転写活性に対するp65の作用を検討するためにp65の欠失変異体とMyoDを10T1/2細胞に過剰発現しMG-185-ルシフェラーゼ活性を測定した。すると、p65はMyoDの転写活性を強力に抑制し、その抑制作用にはp65のTA2ドメインが必要なことがわかった。 以上より、NF-κBシグナルは筋線維の分解・減少期と増殖期には亢進し、それに引き続く分化融合期には減少する。さらに、TNFαで誘導したNF-κBは筋の分解と増殖を促進し、分化・融合を抑制することが明らかとなった(L)。現在NF-κBの阻害剤は骨格筋の分解を抑制するため骨格筋委縮性疾患の有力な候補となっているが、サテライト細胞の増殖を抑制しないように骨格筋代謝のステージに応じた厳密なNF-κBのコントロールが重要であることが示唆された。
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