2016 Fiscal Year Research-status Report
疾患特異的iPS細胞を用いたGorlin症候群の病態機序の解明
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16K20427
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
小野寺 晶子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90637662)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疾患特異的iPS / 骨芽細胞分化 / Hedgehog経路 / Golrin 症候群 / 基底細胞母斑症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔領域を中心とする先天性疾患Gorlin(ゴーリン)症候群は比較的稀な疾患でHedgehogの受容体であるPTCH1を原因遺伝子とし、骨形成異常や外胚葉系異常、また悪性腫瘍を有す症候群であるが、未解明な点が多く、更なる病態解明が治療法の開発には必須である。疾患特異的iPS細胞の樹立は病態解明、治療法の開発、薬剤の選択など大きな貢献が期待できる。本研究ではGorlin症候群より疾患特異的iPS細胞を作成し、骨異常を中心に病態解明を行うこととした。実験の結果、コントロールiPSCと比べて、疾患iPS細胞は石灰化の亢進が認められるという実際に現れる症状に現れる表現系を示した。しかしながら中期から後期の分化マーカーであるSP7とBGLAPの発現は低下していた。Hhシグナル関連分子の発現を解析すると、コントロールiPSCでは抑制型GLI3タンパク質のみが検出されたが、Gorlin-iPSCでは、抑制型GLI3タンパク質と活性型GLI3タンパク質の両方が検出された。PTCH1変異による下流シグナルの異常をさらに検索するためにRNA-seq解析を行ったところ、Gorlin-iPSCにおいては、転写因子FOXO1、ID4、CDX1の発現がコントロールiPSC と比べて有意に上昇していた。以上より、Gorlin症候群を引き起こすPTCH1の変異は、骨芽細胞分化初期には促進的に、後期には抑制的に働き、石灰化を亢進させることが示唆された。また、これらの異常は、GLI3活性型と抑制型の発現バランスの変化に加えて、骨形成・石灰化に関わる他の転写因子群を介して引き起こされる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨芽細胞分化検討においては平成28年度の計画通り、コントロールと疾患両iPS細胞において骨芽細胞分化の検討を行い、RNAseqを用いた発現量解析までは終了している。また患者由来の複数のガン組織よりDNAの採取は終了しており、エキソームシークエンスを順次行っており、2ndhitは現在解析中である。 しかし平成28年度に予定していた遺伝子編集技術をCrisper-CasからNikkaseの使用へと変更したためhomology control hiPS細胞の樹立は進行中である。そのため3)やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度で得られた結果をさらに発展するために、より詳細に疾患特異的iPS細胞の機能的評価を行い、病態との関連を解明することを目的として、現在homology control hiPS細胞および PTCH1 KnockouthiPSの作製を行っている。そののち、3つの細胞(変異修正iPSC、患者由来iPSc、KOiPSc,)を用いての骨芽細胞分化の相違を比較する予定である。
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Research Products
(4 results)