2018 Fiscal Year Research-status Report
Sam68を標的とした口腔がんの新たな診断・治療方法開発に向けた基礎的研究
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16K20433
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒嶋 雄志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00610669)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔がん / RNA結合タンパク / Sam68 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Sam68というRNA結合タンパクの口腔がんにおける機能解析をすすめ、転移や予後を予測する新規バイオマーカーとしての有用性を検討すること、また正常細胞との相違を見出し、Sam68やそれによるmRNA制御機構を標的とした新しいがんの治療法を開発することを目的としている。 初年度には口腔がん細胞株をもちいてSam68の発現様式とStress Granules(mRNAと結合タンパクが一時的に凝集することで生じる細胞質内顆粒構造であり、mRNAの一時的な保管などのmRNA代謝に関与するとされる)の挙動を解析する計画を立てた。まず、口腔扁平上皮癌におけるSam68の発現様式について、正常細胞はヒト皮膚線維芽細胞(BJ)やヒト肺線維芽細胞(WI-38)、口腔扁平上皮癌細胞はヒト細胞株であるHSC3、HSC4、SASを用いて検討を行なった。しかしながら口腔がん細胞株でのSam68高発現を示すデータ(ウェスタンブロッティング法での結果)は得られなかった。また、口腔扁平上皮癌におけるStress Granulesの挙動観察について、上記と同様の細胞株を用いてSam68の蛍光免疫染色を行った。共焦点レーザー走査型顕微鏡でStress Granulesを観察したが、正常細胞と口腔がん細胞での相違点を見出すに至らなかった。 平成29年度と平成30年度も、用いる細胞株や抗体を変更したり、実験の条件を複数にして引き続き上記と同様に検討を行ったものの、有意な結果は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
口腔がん細胞におけるSam68の高発現を明らかにすることが本研究の基礎となるが、これを示すデータが得られていない。当初の計画においてもう一つの検討項目であったOSCCにおけるSGの挙動であるが、現時点では正常細胞と口腔がん細胞での相違点を見出すに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果からは、口腔がん細胞株および他のがん細胞株におけるSam68の高発現は明らかとならなかった。またSGの挙動解析では、正常細胞株とがん細胞株での有意な相違を明らかにはできなかった。 現在は、核内構造物としてのSma68の役割に着目し、がん細胞の悪性形質にいかに関わっているかを検討する計画を立てている。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初に想定した高価な実験試薬等(アデノウイルスベクターなど)の購入に至らなかったため、他の消耗品の購入にとどまり、計画した使用額よりも低額となった。 (使用計画) 今後の計画では、主に細胞培養やWB法、蛍光免疫染色などに用いる消耗品の購入に使用する。
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