2016 Fiscal Year Research-status Report
ロイコトリエン受容体CysLT2を標的としたがん免疫療法の確立
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16K20435
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
五十嵐 秀光 秋田大学, 医学部, 医員 (60581163)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロイコトリエン受容体 / NK細胞 / がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
CysLT2はアラキドン酸から生合成される生理活性脂質であるロイコトリエンの受容体の1つである。気管支喘息モデルマウスの解析により樹状細胞が発現する CysLT2 が免疫反応を抑制的に制御していることが報告されているが、NK細胞におけるCysLT2の生理機能は未だ明らかになっていない。申請者はCysLT2が造血細胞においてNK細胞に高い発現を示し、CysLT2欠損マウスを用いたmelanomaの細胞株であるB16F10細胞を使用した転移モデルマウスを解析した結果、CysLT2欠損により転移が抑制されることを明らかにした。本研究はCysLT2がNK細胞を介してがん免疫に関与しているかを明らかにし、NK細胞を用いたがん免疫療法の新たな知見を提供することを目的としている。 前述のモデルマウスにおける転移はNK細胞依存性であることが報告されている。CysLT2欠損マウスの表現型がNK細胞のCysLT2に関与しているかを明らかにするために、NK細胞を除去した転移モデルマウスを解析した。結果、NK細胞の除去によってCysLT2マウスの表現型が消失した。またモデルマウスの肺におけるNK細胞のFACS解析および細胞障害性顆粒であるパーフォリンおよびグランザイムの発現量の解析したところ、CysLT2の欠損によってNK細胞数やNK細胞の表面抗原は変動せず、細胞障害性顆粒の発現量が増加することが示唆された。 これらの知見はCysLT2欠損によってNK細胞の機能が亢進することによりがん転移を抑制していることを強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していた解析が順調に進行し、CysLT2がNK細胞の機能を抑制的に制御していることを明らかにしつつある。同年度に予定していたCysLT2のリガンドの発現量の測定はリガンドが脂質であることから測定が困難であり一部遅延しているが、平成29年度に予定していたin vitroにおけるNK細胞の培養系の条件検討を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo解析ではCysLT2アンタゴニストの投与によってモデルマウスにおける転移を抑制することができるかを解析する。 in vitro解析ではNK細胞の刺激による細胞増殖能・細胞障害活性を解析する。また、NK細胞とtarget細胞の共培養による細胞障害性活性を解析する。
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Causes of Carryover |
研究室の在庫の試薬によって研究費を節約することができ、適切なラボテクニシャンが見つからず、雇用が困難であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の使用額に合算して使用する。
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Research Products
(1 results)