2016 Fiscal Year Research-status Report
CAM/ECMによる放射線誘導性G2アレスト動態に基づいた新規放射線増感法の構築
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16K20436
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
戒田 篤志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40632097)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 癌 / 細胞周期 / 細胞外因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がんに対して放射線を高精度に集約させることで寡分割・高線量処方を可能とした高精度放射線治療の開発に伴い、今後の更なる治療成績の向上が期待されている。その実現のためには、放射線生物学的アプローチの導入も重要であると考えられ、中でも放射線治療抵抗性に寄与すると言われるがんの細胞動態への理解が重要である。 我々は、Fluorescent Ubiquitination-based Cell Cycle Indicator (Fucci)と呼ばれる細胞周期可視化システムを応用することにより、これまでに腫瘍内微小環境が存在するスフェロイドモデルやマウス皮下移植腫瘍モデルにおいては放射線照射後に生じたG2アレストが遷延することを見出してきた。さらに接着環境を修飾することにより単層培養系においてもそのG2アレスト遷延現象を再現することに成功した。 我々は、平成28年度の研究では、上記G2アレスト遷延現象再現モデルを用い、研究を進めてきた。放射線照射後のG2アレスト動態と密接に関連するDNA損傷修復動態を53BP1を指標に解析したところ、再現モデルでは、対照群と比較して修復が遅延する傾向にあることが示された。それに伴い、DNA損傷経路における分子の発現を検討したところ、再現モデルではChk1のSer296におけるリン酸化が遷延していることが示され、さらにcdc2のTyr15におけるリン酸化についても同様の傾向が認められた。さらに我々は、再現モデルにおいて対照群と比較して有意に発現が上昇もしくは低下している因子、特に接着環境と関連深い細胞膜や細胞外に存在する因子について探索するためにDNAマイクロアレイを行い、現在その結果について解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、DNAマイクロアレイの結果からその発現が有意に変化している細胞外因子を抽出し、その確認実験よりさらに候補因子を絞り込む予定であったが、マイクロアレイの実験スケジュールが遅延したため、平成28年度の段階では網羅的探索に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAマイクロアレイによる網羅的探索から得られた結果をもとに早々に放射線照射後のG2アレスト動態に関与している可能性のある細胞外因子を明らかにし、その細胞外因子を標的とした化合物を当大学保有の化合物ライブラリーを用いることでスクリーニングし、最終的には標的化合物を同定したいと考えている。その遂行のためには研究支援者である当分野の研究員とも密に連携していくことで効率的に研究を進めていきたい。
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Research Products
(5 results)