2017 Fiscal Year Research-status Report
TLR2経路を介したred complex歯性感染のNASH病態増悪機構の解明
Project/Area Number |
16K20437
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古庄 寿子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 助教 (00634461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Red complex / NASH / 歯性感染 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
私はこれまでにToll-like receptor 2(TLR2)の発現上昇,P.gingivalis-LPSへの感受性上昇を介し,肝臓での炎症及び線維化を促進することでP.gingivalis歯性感染が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態を増悪させることをin vivoおよびin vitroの実験で示した .今年度は,歯周炎を進行させる代表的な歯周病原因菌であるP.gingivalis(Pg),T denticola(Td),T forsythia(Tf) の各2菌種(Pg+Td, Pg+Tf, Tf+Td)混合歯性感染によるNASH病態増悪について, P.gingivalis歯性感染実験と同様の方法を用いて検討した.野生型(WT)マウスに対し,高脂肪食(HFD)を12週間投与して脂肪肝を誘導後,Pg+Td, Pg+Tf, Tf+Tdをそれぞれ歯性感染させた3群(Pg+Td群, Pg+Tf群, Tf+Td群)を作成した.HFDのみを投与したControl群も作成した.処置後6週間で 肝組織を回収し,組織学的に比較検討した. Red complex2種混合歯性感染群はControl群と比較し,マクロファージの集簇数が増加した.以上の結果より,Red complex2種混合歯性感染は, NASH病態を増悪することが示された. また、前年度に行った、Red complex3種混合歯性感染による顎骨の影響を検討したところ、普通食(CD)およびHFDに差はなく、両群ともに根尖部に炎症があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生型マウスを使用したRed complex2種混合時の影響に関しては、実験は終了し、結果を出している。以上の結果を鑑みて、TLR2ノックアウトマウスを使用した実験も行う予定であったが、マウスゲージ不足により、遅れている。しかし、ゲージ不足は解消し、繁殖・実験するスペースはすでに確保し、繁殖も開始したため、計画の遂行は可能である。 細胞実験は、ヒト肝臓細胞に使用する培地の生産ラインが停止したことによる世界的な培地不足のため、実験が不可能となり、遅れている。6月までに通常通りに流通する予定なので、7月には実験は再開可能で、計画の遂行は可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo実験において,red complex2種混合感染においても同様にNASH病態を増悪することが組織学的検討において示されたことから,引き続き肝臓から抽出したmRNAでの炎症性サイトカインおよびインフラマソームmRNA発現の変化および,タンパクレベルでのサイトカイ ンの産生量を比較する.また, TLR2ノックアウトマウスにおいてHFD群を作成し, 3種感染群(Rc(+)), 2種感染群(Pg+Tf / Pg+Td / Td+Tf (+)), 非感染群に分け,計5群を作成し, 野生型マウスで行った実験と同様の検討を行う. 以上のことから、red complex歯性感染によるNASH病態増悪におけるTLR2経路の意義を明らかにする. in vitro実験において, 正常肝細胞,および脂肪化肝細胞に抗TLR2中和抗体を投与し,TLR2を阻害した後, Pg,Td,Tf 単一菌種生菌,死菌による刺激を行い,炎症性サイトカインmRNA発現の変化における比較検討を行う.
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Research Products
(2 results)