2016 Fiscal Year Research-status Report
根面齲蝕関連菌Actinomycesの代謝様式とフッ化物作用機序の網羅的解析
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16K20447
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川嶋 順子 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50633707)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Actinomyces / Streptococcus / 根面齲蝕 / 糖代謝 / 重炭酸 / 歯学 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔Actinomycesは、口腔Streptococcusに次いで多く、根面齲蝕病巣からも検出されることから、根面齲蝕との関連が注目されている。齲蝕は、細菌の糖代謝により産生する酸により発症することが知られており、口腔Actinomycesも糖を代謝し酸を産生する。しかし、その糖代謝経路は、Streptococcus mutansなどの口腔Streptococcusとは大きく異なる。糖代謝は一般的に解糖系を経て乳酸等を産生するが、Actinomycesではこれに加え、唾液含有成分である重炭酸を固定してクエン酸回路の一部を利用し、コハク酸を産生する。フッ化物の齲蝕予防効果は広く知られており、そのひとつに糖代謝阻害による酸産生および増殖の抑制効果がある。口腔Actinomyces においてもフッ化物は酸産生と増殖を抑制するが、Streptococcusに比べActinomycesのフッ化物耐性は約5倍も高かった。しかし、そのメカニズムは不明である。一方、唾液等に含まれる窒素化合物がActinomycesの酸産生を促進することが明らかとなっており、クエン酸回路の一部を利用する効率的な代謝機構が存在することを示唆するが、詳細なメカニズムの解明には至っていない。 本年度は、口腔ActinomycesおよびStreptococcusのフッ化物および窒素化合物による酸産生・増殖への効果に着目し、口腔内環境を模した嫌気グローブボックス内での検討を行った。解糖系およびクエン酸回路の利用評価のため、基質として糖以外にアミノ酸などの窒素源も利用し、基質やフッ化物の濃度を変化させながら、両細菌を様々な条件下で酸産生・培養し、経時的にサンプリングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
来年度予定している代謝産物の測定のため、本年度はサンプリングを進める予定であったが、基質の種類や濃度等のサンプリング条件の検討に時間がかかってしまい、予定量のサンプル数を集められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプルの収集と並行して、代謝産物測定のための条件検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
条件検討に時間がかかり、予定していたサンプル数まで到達しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度残額を使用し、予定してるサンプル数を達成する予定である。
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