2016 Fiscal Year Research-status Report
10-MDPを超える接着性,長期耐久性を備えた新規接着性モノマーの開発
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16K20455
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉原 久美子 岡山大学, 大学病院, 助教 (90631581)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機能性モノマー / ハイドロキシアパタイト / 歯質接着 / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科ボンディング材は,含有される機能性モノマーによって,接着強さと耐久性が異なることが知られている。接着耐久性が良いとされている機能性モノマー10-MDP(10-Methacryloyloxydecyl dihydrogen phosphate)であっても,長期的には劣化が避けられないことがわかっており,新規の長期耐久性のある機能性モノマーの開発が望まれている。本研究では,応募者がこれまでに行ってきた機能性モノマーの解析手法や結果を応用し,新規の種々の機能性モノマーを合成し,アパタイトとの化学反応性の解析や歯質との接着強さ測定とナノレベルでの接着界面の観察を行うことにより,初期接着が十分あり,かつ長期耐久性を備えた新規機能性モノマーの開発を行うものである。 本年度は、フッ素含有リン酸モノマーの2種のアパタイトとの反応性、長期耐久性を検討した。フッ素含有リン酸モノマーは,接着強さとその耐久性に優れているといわれる10-MDPと同様にアパタイトに結合し,疎水性の塩を形成することが分かった。とくに、モノマー鎖の長いフッ素含有リン酸モノマーは,接着直後の接着強さと長期の耐久性とも優れていることが分かった。界面の観察を走査電子顕微鏡,透過電子顕微鏡を用いて行ったところ,劣化がほとんど認められないこともわかった。フッ素含有リン酸モノマーの歯科接着応用の可能性が示唆された。本研究結果は、2017年3月のサンフランシスコでのIADRで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の計画通り進んでおり、結果の一部はすでに2017年3月にサンフランシスコで行われたIADRで発表をした。また、現在論文執筆中である。また、並行して、引き続き計画通り実験を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究から、フッ素系新規機能性モノマーは、従来使われている10-MDPよりも耐久性があることが示唆された。今後は、本モノマーの実用化の検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
論文投稿の英文校正費用2本分を計上していたが,1本は英文校正を国際研究の共同研究者が行ってくれたことと,1本は査読から帰ってこないために、次年度に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り英文校正費用、投稿料として使用します。
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Research Products
(23 results)