2016 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞由来の歯根膜幹細胞の樹立およびこの細胞を用いた効果的な歯根膜組織の再生
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16K20457
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱野 さゆり 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40757978)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯根膜幹細胞 / iPS細胞 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はiPS細胞から歯根膜幹細胞様細胞のより効率的な誘導条件の確立およびこの細胞と歯周組織傷害モデルを用いた歯周組織の再生能について検討した。 申請者はすでにiPS細胞から獲得したiPS-NC-PDL細胞が歯根膜幹細胞様細胞の特徴を有する所見を得ていることから、より効率的な培養条件を検討する必要がある。本研究におけるiPS-NC-PDL細胞の獲得過程では、iPS-NC細胞を初代ヒト歯根膜細胞(HPDLC)の細胞外マトリックス上にて培養するが、HPDLCのドナー間の違い、ならびにHPDLCの細胞外マトリックス上での培養期間により、獲得できる歯根膜幹細胞様細胞の誘導効率が異なることが考えられる。そこで、2名のドナーのHPDLCおよび他ドナーの皮膚の線維芽細胞の細胞外マトリックスを用いて分化させた細胞の特徴について比較検討した。25歳女性のHPDLCの細胞外マトリックス上での培養の結果、iPS細胞から最も効率よく歯根膜幹細胞様細胞が得られた。また、HPDLCの細胞外マトリックス上での培養期間を1または2週間で比較検討した結果、2週間の培養でより効率よく歯根膜幹細胞様細胞が得られることが分かったため、これらの条件を用いて歯根膜幹細胞への分化を行うこととした。 次に、歯周組織傷害モデルの確立を図った。手技を安定させるため、あらかじめ予備実験を行い、ある程度手技が安定したところで、免疫不全ラットに傷害を与え、iPS細胞から得られた歯根膜幹細胞様細胞を応用した。歯周組織の再生が認められる部分もあるが、N数を増加させて次年度にさらなる解析が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞から効率的に歯根膜幹細胞様細胞を分化させる最適条件についての検討は終了しており、また歯周組織傷害モデルの樹立にも成功している。歯周組織傷害モデルへの歯根膜幹細胞様細胞の応用については、まだN数が不足しているが、当該年度の目標とする課題は概ね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は歯周組織傷害モデルへの歯根膜幹細胞様細胞の応用のN数を増やすこと、ならびに歯根膜幹細胞分化に必要な因子の探索である。歯根膜幹細胞様細胞の誘導にHPDLCの細胞外マトリックスを応用していることから、HPDLCの細胞外マトリックスは歯根膜幹細胞分化に有用な因子を所有していると考えられる。そこで、マイクロアレイを用いて、歯根膜幹細胞誘導因子の同定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
歯周組織傷害モデルの予備実験ではSDラットを使用しており、免疫不全ラットを用いた本実験は次年度行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫不全ラットおよび歯根膜幹細胞様細胞を用いて、歯周組織の再生について評価を行う。確実性を上げるため、N数を増やして実験を行っていく。
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Research Products
(5 results)